21日の香港市場は大幅に値下がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比536.47ポイント(2.20%)安の23793.55ポイントと続落し、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が209.49ポイント(2.13%)安の9614.93ポイントと3日ぶりに反落した。売買代金は1107億9600万香港ドルに拡大している(20日は898億4600万香港ドル)。

悪材料が重なり、投資家のリスク回避スタンスが鮮明化する流れ。原油相場が史上初のマイナス価格に沈み、昨夜の米株が急反落したことを嫌気している。翌日に納会(受け渡し)を迎えるWTI原油先物5月限は昨夜、前営業日終値の18.27米ドルから一時マイナス40.32米ドルにまで落ち込んだ(終値はマイナス37.63米ドル)。新型コロナウイルス感染拡大による外出規制などで、世界的に石油製品の需要が急減。貯蔵倉庫の限界が近づくなか、買い手不在の状態に陥っている。経済活動停滞の実態が改めて意識された。

香港域内の景気先行きも不安視される。香港の2月失業率は前月の3.7%を上回る4.2%に悪化し(予想は4.0%)、約9年ぶりの高水準に達した。また、米格付け会社フィッチ・レーティングスは20日、香港の長期債務格付けを「AA」から「AA-」に1段階引き下げ。一連の新型コロナ対策により、経済が委縮すると懸念した。

ハンセン指数の構成銘柄はほぼ全面安(50のうち49が下落)。バイオ製薬・中医薬メーカーの中国生物製薬(1177/HK)が7.9%安、中国ニット衣料最大手の申洲国際集団HD(2313/HK)が5.9%安、マカオ・カジノの金沙中国(サンズ・チャイナ:1928/HK)が5.2%安、香港不動産系コングロマリットの太古A(スワイヤ・パシフィックA:19/HK)が4.5%安と値下がり率上位に並んだ。中国生物製薬に関しては、主要株主で執行董事の謝炳氏が保有株のうち2億株を売却すると報告したことが売り材料視されている。

セクター別では、石油生産・化工や掘削、天然ガスなどエネルギー関連が安い。中国海洋石油(CNOOC:883/HK)が2.9%、中国石油化工(サイノペック:386/HK)が2.6%、中国石油天然気(ペトロチャイナ:857/HK)が2.5%、中海油田服務(2883/HK)が4.1%、港華燃気(タウンガス・チャイナ:1083/HK)が3.4%ずつ下落した。

中国自動車セクターも急落。華晨中国汽車HD(1114/HK)が5.5%安、比亜迪(BYD:1211/HK)が5.4%安、北京汽車(1958/HK)が4.6%安、東風汽車集団(489/HK)が4.5%安、吉利汽車HD(175/HK)が3.9%安、長城汽車(2333/HK)が3.3%安で引けた。

半導体や通信設備・工事、スマートフォンなど広義の5Gネットワーク関連銘柄も売られる。中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が4.9%安、華虹半導体(1347/HK)が4.6%安、ASMパシフィック・テクノロジー(522/HK)が3.6%安、京信通信系統HD(2342/HK)が4.0%安、中興通訊(ZTE:763/HK)が3.5%安、舜宇光学科技(2382/HK)が3.9%安、瑞声科技HD(AACテクノロジーズ・ホールディングス:2018/HK)が3.6%安と値を下げた。

一方、本土市場は4日ぶりに反落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.90%安の2827.01ポイントで取引を終えた。資源・素材株が安い。半導体株、自動車株、消費関連株、医薬品株、不動産株、空運株、金融株、公益株なども売られた。半面、テレワーク関連株の一角は高い。タンカー銘柄も物色された。

亜州リサーチ(株)



<FA>

情報提供元: FISCO
記事名:「 21日の香港市場概況:ハンセン2.2%安で続落、原油暴落でセンチメント悪化