30日の香港市場は値上がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比21.23ポイント(0.08%)高の25724.73ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が90.56ポイント(0.91%)高の10083.20ポイントとそろって続伸した。売買代金は873億4800万香港ドルとなっている(29日は788億6700万香港ドル)。

米中対立の警戒感が薄らぐ流れ。中国商務部の報道官は29日、「通商問題を話し合うため、中国側は9月の米国訪問を検討している」と述べ、米国との話し合いに前向きな姿勢を示した。また、トランプ米政権が先週発表した対中関税の税率引き上げに対し、中国側は報復措置をいったん見送ることも示唆している。トランプ大統領は29日、「米国と中国は本日、これまでと違うレベルで貿易に関する話し合いを行う予定だ」と語った(現時点で詳細内容は不明)。

ただ、ハンセン指数は安く推移する場面もみられている。香港情勢の不透明感が強まる状況。香港警察は30日午前、2014年の雨傘運動で学生リーダーだった2人らを逮捕した。当局と民主派の対立は、一段と激化する恐れがある。また、ロイター通信は30日、「香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が『逃亡犯条』改正案取り下げを中国政府に提案したが却下された」と報じた。中国政府は行政長官に対し、反政府派のいかなる要求にも応じないよう命じたという。

ハンセン指数の構成銘柄では、増益決算を報告した石油大手の中国海洋石油(CNOOC:883/HK)が5.4%高、中国石油天然気(ペトロチャイナ:857/HK)が3.7%高と上げが目立った。米中関係が株価に左右されやすい銘柄群も物色される。光学部品OEMメーカーの舜宇光学科技(2382/HK)が4.0%高、電動工具メーカー大手の創科実業(テクトロニック・インダストリーズ:669/HK)が1.7%高で引けた。

このほかにも、業績動向を手がかりにした物色がみられる。増益や増配を発表した銘柄群では、白物家電大手の海爾電器集団(ハイアール電器:1169/HK)が9.1%高、エンジンメーカーのイ柴動力(2338/HK)が4.2%高、政府系投資会社の上海実業HD(上海インダストリアル:363/HK)が3.7%高、証券ブローカー中国大手の広発証券(1776/HK)が3.5%高、最大手行の中国工商銀行(1398/HK)が1.2%高などと値を上げた。ハイアール電器に関しては、上述の消費刺激策に「スマート家電製品の買い替え促進」が盛り込まれたこともプラス材料視されている。

半面、香港拠点の銘柄群はさえない。長江基建集団(長江インフラ:1038/HK)が3.2%安、長江実業集団(1113/HK)と電能実業(6/HK)がそろって2.3%安、香港鉄路(MTR:66/HK)が2.1%安、中電HD(2/HK)恒生銀行(ハンセン銀行:11/HK)がそろって2.0%安と下げた。そマカオ・カジノ株も売られている。

一方、本土市場は3日続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.16%安の2886.24ポイントで取引を終えた。ハイテク関連が安い。不動産株、発電や水道の公益株、素材株、運輸株、自動車株の一角も売られた。半面、消費関連株の一角はしっかり。白酒(中国の蒸留酒)メーカー大手の貴州茅台酒(貴州マオタイ:600519/SH)は5営業日ぶりに上場来高値を更新した。このほか、医薬品株や金融株の一角も買われている。

【亜州IR】



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情報提供元: FISCO
記事名:「 30日の香港市場概況:ハンセン0.1%高で続伸、CNOOCは好決算で5.4%上昇