9日の香港市場は値下がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比181.47ポイント(0.69%)安の25939.30ポイントと3日ぶりに反落し、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)も47.78ポイント(0.48%)安の9993.84ポイントと反落した。ハンセン指数は、今年1月8日以来の安値を終値で切り下げている。売買代金は685億3100万香港ドルと低水準だった(8日は759億6100万香港ドル)。

米中貿易問題の不透明感が重し。一部の米メディアは日本時間9日早朝、「中国による米農産品の購入停止に対抗し、ホワイトハウスは米国企業と華為技術(ファーウェイ)との取引再開許可を先送りしている」と関係者の話として報じた。

朝方公表された7月の中国物価統計では、消費者物価指数(CPI)の上昇率がやや加速する半面、生産者物価指数(PPI)はマイナス圏に転落した。PPIの低下率は市場予想(0.1%低下)を超えて0.3%に上っている。PPIのマイナス転落は2016年以来。企業活動が停滞していると懸念された。

ハンセン指数の構成銘柄では、香港不動産の下げが目立つ。太古(A)(スワイヤ・パシフィック(A):19/HK)が4.1%安、九龍倉置業地産投資(1997/HK)が2.6%安、新鴻基地産発展(16/HK)が1.9%安で引けた。香港域内の社会混乱が依然として不安視されている。香港国際空港は9日、警備を厳格化すると発表した。「逃亡犯条例」の反対派ネット上で、「9~11日にかけて空港内で抗議集会を開こう」と呼び掛けているためという。

業種別では、5Gネットワーク関連が安い。中興通訊(ZTE:763/HK)が7.8%、中国通信服務(552/HK)が2.9%、中国鉄塔(788/HK)が2.6%、京信通信系統HD(2342/HK)が1.7%ずつ下落した。ZTEについては、トランプ米政権が「8月に成立した国防権限法に基づき、ZTEなど中国企業5社製品の米政府機関による調達を13日から禁止する」と正式発表したことも売り材料となっている。

中国不動産セクターもさえない。中国恒大集団(3333/HK)が2.5%安、雅居楽集団HD(3383/HK)が2.2%安、保利置業集団(119/HK)が1.9%安と値を下げた。

半面、通信キャリア各社は物色される。中国移動(チャイナ・モバイル:941/HK)が2.9%高、中国電信(チャイナ・テレコム:728/HK)が1.8%高、中国聯通(チャイナ・ユニコム:762/HK)が1.1%高と上昇した。中国移動に関しては、8日発表の中間決算が15%減益だったものの、決算説明会で下半期の増収を予想した点が好感されている。また、一部のアナリストは、「2019年の5G投資は膨らむものの、4G投資が縮小に向かうため、全体としての投資額はそれほど増加しない」と予想した。

家電や食品・飲料、酒造など消費関連セクターもしっかり。TCL電子HD(1070/HK)が1.9%高、海爾電器集団(ハイアール電器:1169/HK)が1.3%高、康師傅HD(ティンイー:322/HK)が2.7%高、青島ビール(168/HK)が3.5%高と値を上げた。

他の個別株動向では、ピックアップトラック・SUV生産の長城汽車(2333/HK)が1.2%高と続伸。7月の新車販売が前年同月比で11.1%増加し、2カ月連続でプラス成長したことが好感された。同業他社株の一角にも買いが波及している。

一方、本土市場は反落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.71%安の2774.75ポイントで取引を終えた。ハイテク株が安い。不動産株、自動車株、保険・証券株、運輸株、航空・防衛関連株、インフラ関連株なども売られた。

【亜州IR】



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情報提供元: FISCO
記事名:「 9日の香港市場概況:ハンセン0.7%安で3日ぶり反落、通信キャリア逆行高