12日の香港市場は小幅に値上がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比39.82ポイント(0.14%)高の28471.62ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が4.33ポイント(0.04%)高の10844.93ポイントとそろって3日続伸した。売買代金は624億3800万香港ドルとなっている(11日は674億400万香港ドル)。

世界的な金融緩和の期待が追い風。米国の金融当局者は、7月の大幅利下げを相次ぎ容認する発言をしている。中国ではデフレ懸念の再燃を背景に、市場関係者の一部が「中国人民銀行(中央銀行)による政策金利引き下げの可能性が高まった」と指摘する状況だ。ただ、上値は限定的。中国指標の発表を前に、様子見ムードも漂った。週明け15日には、4~6月期GDP成長率や6月の経済統計(小売売上高、鉱工業生産など)が集中して公表される。なお、大引け近くに発表された6月の貿易統計では、輸出入がそろって予想を下回った。これを受けて、指数は上げ幅を縮小させている。

ハンセン指数の構成銘柄では、生命保険事業で中国最大手の中国人寿保険(2628/HK)が1.8%高、マカオ・カジノの金沙中国(サンズ・チャイナ:1928/HK)と香港不動産デベロッパー大手の信和置業(83/HK)がそろって1.4%高、生命保険業務アジア大手のAIAグループ(1299/HK)が1.3%高と上げが目立った。

業種別では、中国の不動産がしっかり。龍湖集団HD(960/HK)が2.5%、首創置業(北京キャピタル・ランド:2868/HK)が2.1%、保利置業集団(119/HK)が1.7%、中国金茂HD(817/HK)が0.8%ずつ上昇した。龍湖集団は上場来高値を更新している。

他の個別株動向では、肥料販売で中国最大手の中化化肥HD(サイノフェルト:297/HK)が1.1%高と買われた。6月中間期の35~55%増益見通しが好感されている。

半面、港湾・海運セクターはさえない。廈門国際港務(アモイ国際港務:3378/HK)が2.0%安、招商局港口HD(144/HK)と中遠海運港口(1199/HK)がそろって1.2%安、中遠海運HD(1919/HK)が1.6%安、中遠海運能源運輸(1138/HK)が1.1%安と値を下げた。

このほか、化粧品販売店をチェーン展開する莎莎国際HD(ササ・インターナショナル・ホールディングス:178/HK)は1.3%安。4~6月期の売上高が前年同期比で11%減少したことが嫌気された。マイナス成長は3四半期連続で、減収率は前四半期の7.2%から拡大している。6月の2週目以降に、香港で「逃亡犯条例」改正案を巡る大規模なデモが発生し、一部店舗の売り上げを押し下げた。

一方、本土市場は続伸。主要指標の上海総合指数は、前日比0.44%高の2930.55ポイントで取引を終えた。保険株が高い。不動産株、医薬品株、インフラ関連株、発電株、海運株、食品・飲料株、ハイテク株なども買われた。半面、自動車株はさえない。非鉄や鉄鋼、産金の資源株、空運株、紙パルプ株も売られた。

【亜州IR】





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情報提供元: FISCO
記事名:「 12日の香港市場概況:ハンセン0.1%高で3日続伸、港湾・海運セクターは逆行安