8日の香港市場は値下がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比359.82ポイント(1.23%)安の29003.20ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が163.68ポイント(1.45%)安の11097.37ポイントとそろって反落した。ハンセン指数は約1カ月半ぶりの安値水準に落ち込んでいる。売買代金は1076億6600万香港ドルにやや拡大した(7日は969億800万香港ドル)。

米中貿易摩擦の激化を警戒。トランプ米政権が対中関税引き上げを表明するなか、「米国が関税を引き上げた場合、その1分後に中国は報復関税を実施する」とする中国側の関係筋情報として伝えられた。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は7日、いったん棚上げされていた2000億米ドル相当の中国製品向け輸入関税を10→25%に引き上げる措置に関し、10日の午前0時1分(日本時間で午後1時1分)に実施すると発表している。ワシントンで9日から始まる米中通商協議に関しても、交渉決裂の不安がくすぶる状況だ。

なお、取引時間中に公表された今年4月の中国貿易統計は、輸出が下振れる一方、輸入が上振れるなどまちまちの内容となっている。

ハンセン指数の構成銘柄では、電動工具メーカー大手の創科実業(テクトロニック・インダストリーズ:669/HK)が4.4%安、国内銀行5位の交通銀行(3328/HK)が3.3%安、生命保険事業で中国最大手の中国人寿保険(チャイナライフ:2628/HK)が3.1%安、ブタ肉生産で世界トップの万洲国際(WHグループ:288/HK)が3.0%安と下げが目立った。創科実業と万洲国際は米国での売り上げが大きいだけに、米中関係の悪化が懸念されている。

業種別では、中国の金融が安い。上記した交通銀行と中国人寿保険のほか、新華人寿保険(1336/HK)が4.1%、中国人民財産保険(PICC:2328/HK)が3.8%、招商銀行(3968/HK)が2.1%、中国建設銀行(939/HK)が1.9%、海通証券(6837/HK)が2.8%、広発証券(1776/HK)が2.7%ずつ下落した。

自動車セクターもさえない。比亜迪(BYD:1211/HK)が3.0%安、北京汽車(1958/HK)が2.4%安、吉利汽車HD(175/HK)が1.9%安、東風汽車集団(489/HK)が1.7%安と値を下げた。

半面、材料の出た銘柄群の一角は物色される。食品・飲料メーカーの統一企業中国HD(220/HK)が12.6%高と急伸した。1~3月期業績の大幅増益が好感されている。そのほか、インターネットサービス中国最大手の騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)が1.1%上昇した。同社は8日、課金可能な新ゲームの公開テストを開始すると発表。収益拡大の思惑が先行している。

一方、本土市場は反落。主要指標の上海総合指数は、前日比1.12%安の2893.76ポイントで取引を終えた。金融株が下げを主導する。医薬品株、公益株、資源・素材株、運輸株、インフラ関連株、不動産株なども安い。半面、ハイテク株の一角は買われた。

【亜州IR】




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情報提供元: FISCO
記事名:「 8日の香港市場概況:ハンセン1.2%安で反落、創科実業4.4%下落