8日の香港市場は値上がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比110.26ポイント(0.39%)高の28359.14ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が35.08ポイント(0.32%)高の10901.18ポイントとそろって3日続伸した。売買代金は930億9900万香港ドルとなっている(7日の売買代金は890億300万香港ドル)。

業績期待の買いが継続する流れ。これまでに報告された香港上場企業の決算では、増益や増配を明らかにする企業が多数派を占めている。また、中国人民銀行(中央銀行)は朝方、人民元レートの対米ドル基準値を連日で元高方向に設定。「人民銀は過度な元安進行を望まない」との見方が改めて強まったことも支援材料だ。取引時間中に公表された7月の中国貿易統計では、輸出と輸入が前年同月比で予想以上に伸びた実態が判明している。

ただ、米中貿易摩擦に対する警戒感の強まりはマイナス。主要な株価指標は、安く推移する場面もみられた。米通商代表部(USTR)は7日、中国の知的財産権侵害に対抗する制裁関税第2弾(中国産の輸入品160億米ドル相当に25%の追加関税)を23日に発動すると発表。これに対し中国側は、同規模の対抗措置を打ち出すと予告している。

業種別では、天然ガスや石油などエネルギー関連の上げが目立つ。新奥能源HD(ENNエナジー:2688/HK)が4.6%、中国燃気HD(中国ガス:384/HK)が1.8%、中国石油天然気(ペトロチャイナ:857/HK)が3.2%、中国海洋石油(CNOOC:883/HK)が1.6%、中海油田服務(2883/HK)が10.5%ずつ値を上げた。天然ガス株に関しては、上半期のガス販売量が堅調に伸びたとして、大手ブローカーが目標株価などを引き上げたことが好感されている。石油株については、原油相場の先高観が強まったことが追い風。主要産油国イラクに対し米国が制裁を再開したことを受け、原油供給が細るとみられている。

ゼネコンや建材などインフラ関連セクターもしっかり。中国中鉄(390/HK)が2.1%高、中国鉄建(1186/HK)が0.8%高、華潤水泥HD(1313/HK)が4.3%高、中国建材(3323/HK)が2.8%高、安徽海螺セメント(安徽コンチセメント:914/HK)が2.7%高とそろって続伸した。18年の鉄道投資計画が上方修正される——と伝えられたことが引き続き手がかり。報道によれば、中国鉄路総公司が年初に定めた目標7320億人民元を上回り、17年実績の8000億人民元を超える見込みだ。

他の個別株動向では、マカオ・カジノの銀河娯楽集団(ギャラクシー・エンターテインメント:27/HK)が4.5%高と後場から急伸。同社はこの日の昼、中間決算の56%増益を報告した。特別配当も前年同期から増額されている。

半面、中国自動車セクターは安い。長城汽車(2333/HK)が9.9%、華晨中国汽車HD(1114/HK)が3.0%、東風汽車集団(489/HK)が1.9%、北京汽車(1958/HK)が1.4%、吉利汽車HD(175/HK)が1.1%ずつ値を下げた。ピックアップトラック・SUV生産の長城汽車については、今年7月の新車販売が前年同月比で21.3%減少したことを嫌気。2カ月連続のマイナス成長となるなか、業績不安も漂った。

本土市場は反落。主要指標の上海総合指数は、前日比1.27%安の2744.07ポイントで取引を終えた。時価総額上位の金融や消費、自動車などの銘柄群が下げを主導する。医薬株やハイテク株、不動産株、海運株なども売られた。半面、石油や天然ガスのエネルギー株はしっかり。セメント株、鉄鋼株なども買われている。


【亜州IR】




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情報提供元: FISCO
記事名:「 8日の香港市場概況:ハンセン0.4%高で3日続伸、6割増益の銀河娯楽は4.5%上昇