30日の香港市場は値下がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比427.79ポイント(1.40%)安の30056.79ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が189.92ポイント(1.59%)安の11769.16ポイントとそろって続落した。ハンセン指数は約3週ぶりの安値。心理的節目の30000ポイントを割り込み、一時29964.34ポイントまで低下した。売買代金は1097億7300万香港ドルに拡大している(29日の売買代金は875億5400万香港ドル)。

投資家のセンチメントが悪化。イタリアやスペインの政局混乱を嫌気し、昨夜の通貨ユーロと欧米株の市場が急落した流れを継いだ。米中貿易摩擦の警戒感も再浮上。トランプ米政権は29日、知的財産権の侵害を理由とした中国への制裁関税について、6月15日までに発表し、速やかに発動すると発表した。米政権はこれまで、制裁関税の発動をいったん棚上げにしていた経緯があり、再び強硬姿勢に転じた格好となる。

さらにホワイトハウスは同日、中国が製造強国を目指すとして掲げる「中国製造2025」戦略に関し、「関連製品に高率関税を課す」と声明した。産業ロボットなど先端産業に補助金を集中投下する「中国製造2025」政策について、自由な企業競争を阻害すると米側は非難している。また、この日の本土株が6日続落し、約1年7カ月ぶりの安値水準に沈んだこともマイナス材料だ。

ハンセン指数の構成銘柄はほぼ全面安(50のうち47が下落)。なかでも、ブタ肉生産で世界トップの万洲国際(WHグループ:288/HK)が3.0%安、民間自動車メーカーの吉利汽車HD(175/HK)と香港系不動産投資会社の九龍倉置業地産投資(1997/HK)がそろって2.6%安、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382/HK)が2.5%安と下げが目立った。

海運セクターも安い。中遠海運HD(1919/HK)が5.8%、太平洋航運集団(2343/HK)が4.0%、中外運航運(368/HK)が3.3%、中遠海運発展(2866/HK)が2.6%、中遠海運能源運輸(1138/HK)が1.7%ずつ値を下げた。

紙・パルプ、空運セクターも売られる。玖龍紙業(2689/HK)が3.9%安、山東晨鳴紙業集団(1812/HK)が3.0%安、理文造紙(2314/HK)が2.4%安、中国南方航空(1055/HK)が2.7%安、中国東方航空(670/HK)と中国国際航空(753/HK)がそろって1.6%安で引けた。元安の進行がネガティブ材料視されている。空運各社はドル建て債務の比率が高く、紙製品各社は原料を輸入しているためだ。この日の上海外国為替市場では、対米ドルの人民元相場が約4カ月半ぶりの元安水準で推移している。

一方、本土市場は6日続落。主要指標の上海総合指数は、前日比2.53%安の3041.44ポイントで取引を終えた。金融やエネルギーなど大型株が下げを主導する。インフラ関連株、ITハイテク関連株、不動産株、発電株。紙・パルプ株なども売られた。


【亜州IR】



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情報提供元: FISCO
記事名:「 30日の香港市場概況:ハンセン1.4%安で続落、内外株安で心理悪化