*12:41JST グリッド Research Memo(1):社会インフラ特化AI企業、2026年6月期は大幅増収
■要約

グリッド<5582>は、電力、海運、鉄道などの社会インフラ分野に特化したAIソリューション企業である。独自のAIフレームワーク「ReNom」を基盤に、需要予測、シミュレーション、数理最適化を統合し、電力需給、配船、運行などの複雑な計画業務を高度化・自動化する。インフラ領域に精通した人材、高度な最適化技術、大手企業での導入実績を強みに、AIエンジンの開発からシステム構築、運用・保守までを一貫して提供している。近年は、AIと蓄電池アセットを組み合わせた系統用蓄電所の開発・売却にも取り組んでおり、AI事業に続く第2の成長ドライバーとしてインフラアセット事業の拡大を進めている。

1. 2026年6月期の業績概要
2026年6月期業績は、売上高3,119百万円(前期比51.2%増)、営業利益459百万円(同7.3%増)となり、営業利益ベースで6期連続の増収増益を達成した。AI事業では電力、都市・交通の両ドメインが伸長し、既存顧客との取引拡大によって顧客平均売上も増加した。インフラアセット事業は、蓄電所開発の本格化と電力系統接続申請支援の寄与により、売上高が前期比12.7倍に拡大した。一方、事業構成の変化に加え、人員増強、研究開発、本社移転などの先行投資により営業利益率は低下した。フリー・キャッシュ・フローはマイナスとなったものの、自己資本比率は83.5%と高水準を維持しており、財務の健全性に大きな懸念はない。

2. 2027年6月期の業績見通し
2027年6月期通期業績は、売上高4,500百万円(前期比44.3%増)、営業利益600百万円(同30.6%増)と、大幅な増収増益を計画している。AI事業は全ドメインで案件拡大を見込み、売上高3,000百万円(同27.0%増)を予想する。案件パイプラインは33.2億円に達しており、そのうち受注済みの開発案件と運用保守案件が16.0億円を占める。インフラアセット事業も、前期受注案件の進捗と新規案件の売上計上により、売上高1,500百万円(同98.3%増)を見込む。人件費や外注費は増加するものの、増収効果とAI事業の生産性向上によって吸収する計画である。

なお、第1四半期は蓄電所開発案件の大型資材納入時期の影響を受け、売上高と営業利益が一時的に低水準となる見通しである。ただし、売上計上時期のずれによるものであり、同社は通期業績への影響を限定的と捉えている。

3. 中長期の成長戦略
同社は中長期的に、AI事業とインフラアセット事業を成長の両輪とし、社会インフラを支える次世代の意思決定基盤となることを目指している。AI事業では、既存顧客へのアップセルやクロスセルを進めるとともに、送配電、海運、航空、自動車、鉄道周辺領域へ適用範囲を広げる。加えて、生成AIや量子関連技術の活用、M&A・資本業務提携を通じた事業基盤の強化を進める。インフラアセット事業では、特別高圧案件への展開に加え、AIを活用した蓄電所運用支援や自社保有モデルも視野に入れている。

現在、今後3年間を対象とする中期経営計画を策定中であり、蓄電所開発を中心に複数の成長シナリオを検討している。具体的な数値目標については、資本効率や企業価値向上の観点から各シナリオの確度を見極めたうえで公表する方針である。

■Key Points
社会インフラに特化した計画最適化AIで独自の競争基盤を構築
蓄電所開発が第2の成長ドライバー、自社保有モデルも検討
2027年6月期は大幅増収増益を計画、1Qは大型資材の納入時期により一時的に低調になる可能性
AIの適用領域拡大と特別高圧蓄電所への展開が中長期成長をけん引

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 グリッド Research Memo(1):社会インフラ特化AI企業、2026年6月期は大幅増収 」