*12:07JST ベイシス Research Memo(7):2027年6月期は増収増益見込み、新中期経営計画の下で積極投資(3)
■今後の見通し

2. 新中期経営計画(2/3)

(2)事業戦略(1/2)
新たな中期経営計画では、前中期経営計画において残した5つの課題に対する解決策を5つの重点戦略と位置付け、これらの戦略を推進することで企業価値向上を実現する。

1)成長シナリオ
ベイシス<4068>は、現在社会問題化している産業界、特に現場作業の遂行によって事業が成り立つ建設業界等における人手不足問題や、それを背景とした省人化・デジタル化のニーズの拡大、及びそれらのニーズへの具体的な解決策として利用可能なAI・ドローン・ロボット・IoT等の進化を、事業機会拡大に向けての大きな機会と捉え、BPaaSを現場作業の省人化や生産性向上に資するソリューションとして位置付ける。BPaaSは、これまで培ってきた現場実行力とテクノロジーを掛け合わせた、ICT・IoTインフラの構築・運用の現場オペレーションを一気通貫で提供するサービスモデルで、上記ニーズのある顧客企業を積極的に開拓、提案することにより事業領域の拡大と企業価値向上につなげる。具体的なシナリオとして、攻略対象とする顧客層や設備・地域の拡大のほか、案件受託における構築から運用までの提案、「BLAS」のクロスセルによるBPaaS対象案件の拡大を進めていく。この過程で「4つの競争資産」をさらに強化し、品質・信頼性の向上から競争優位性につなげるとともに新サービス創出で成長サイクルを回し、持続的な成長を目指す。同社はこの仕組みを「インフラテックプラットフォーム」と呼び、新たな中期経営計画で基本方針とする。

2)5つの重点戦略
基本方針を実現するため、前中期経営計画の振り返りにより洗い出された課題の解決策となる「5つの重点戦略」を推進し、これらを相互に連携させることで持続的に価値を生み出す事業基盤を構築していく。

a)対応領域拡大
「4つの競争資産」を活用し、既存顧客へのクロスセルや新規顧客へのソリューションの横展開、成功モデルの標準化といった施策を進め、新たな領域や顧客への展開を図り、売上面の成長を目指す。新たな対象領域として、建物・設備マネジメント、AIカメラ・認証、エネルギー・スマートメーター、社会インフラ(公共施設・都市設備等のIoT化)、防災・レジリエンスといった、主としてインフラ領域への拡大を目指す。同社はこれまで顧客開拓が進んでいない建物・設備マネジメントや社会インフラ等を積極的に開拓する方針で、「4つの競争資産」を掛け合わせて顧客の課題を発掘し、最適なソリューションを提案する。これにより顧客接点の拡大、案件機会や売上高の拡大、対応可能なインフラ領域の拡大、競争資産のさらなる強化といった成果につなげる。

b)BLAS拡販・BPaaS化推進
IoT機器等の設置・施工案件の受託時に「BLAS」を併せて販売し、案件データや現場データ等の活用基盤を提供することでBPaaS化を進め、機器等の設置案件終了後の運用・保守作業を受託しやすい状況を作る。これにより、フロー収益だけでなくストック収益の増強、顧客LTVの向上、収益性・生産性の向上、競争資産のさらなる強化といった成果を目指す。

c)全社AXによる経営基盤の変革
AI活用を前提に業務・組織・データ・システムを一体的に再設計し、案件別の収益をタイムリーに把握できる全社共通の業務基盤を構築する。販売・購買・原価計算等各部門の受注や請求の処理について、案件コード・原価・マスタ・承認・証跡に関するデータを全社で標準化し、全社横断で業務管理を進める。さらに、AIを活用し、ERP(基幹システム)を目的に応じて効率的に使い分ける機能実装も計画している。「BLAS」が現場のオペレーションを標準化し、全社AXで販売・購買・原価等の基幹業務を標準化するという流れで、フロントとバックヤードの情報を接続し、全社的に効率化を推進する。なお、AI活用については、定型業務の7〜8割をAIがこなすことで自動化し、人材が承認や監督といった最終判断を担うという構想である。引き続きAIを効果的に活用し、部門を横断した業務プロセスの標準化を推進する。これにより、見積や価格設定の精度を向上させ案件の採算を改善するとともに、間接業務削減による生産性向上を目指す。同社によれば、これらの施策に関するプロジェクトが進行中であり、2028年6月期からの稼働を目指して対応を進めている。

d)ブランディング・マーケティング
自社ブランド(「BLAS」を含む)の認知度を高め、顧客開拓・採用・パートナー企業・M&A対象企業との接点を継続的に創出するマーケティング基盤を構築する。これらの接点を自社サイト(コーポレートサイト及びBLASサービスサイト)経由でも創出する方針で、サイト機能として訪問者分類や、訪問者への情報提供等を充実させ、商談や応募につながる導線強化を行う。PHASE1を「立ち上げ」(サイトや発信基盤を整備し、獲得施策に着手)、PHASE2を「認知投資」(指名検索の立ち上がりに伴い獲得と認知へ予算を配分)、PHASE3を「ブランドドライブ」(指名検索・リファラルが加速し、獲得コストが自動的に低減)と、計画の進行を想定している。

e)M&Aの推進
既存事業とのシナジーを軸に、技術・サービス・顧客基盤等、自社に不足する機能を獲得する手段としてM&Aを活用し、事業拡張を加速させる。ターゲットの選定にあたっては、オペレーションの類似性と顧客・設置物件の重複度を基準に、双方が高い領域で活動する企業を最優先する。現在同社は、有望なターゲットとして、建物設備管理や消防設備で使用するカメラやセンサー、キュービクル式高圧受電設備等のIoT化を手掛ける工事・施工会社に注目していると見られる。実際に2026年9月には、高圧受電設備の保安管理業務を手掛ける日本電気安全協会の全株式を取得し、完全子会社化した。日本電気安全協会の専門性・顧客基盤と同社のIoT技術を組み合わせ、「スマート保安」の展開を推進することでストック型収益基盤の強化を目指す。またM&Aで実現する3つの成長戦略として、「バリューチェーンの垂直統合(既存パートナーの取り込み)」「サービスラインの水平展開(提供サービスの拡充)」「フローからストックへの転換(保守・運用まで拡張)」の3点を掲げている。さらにPMI(買収後の統合プロセス)を通じて、クロスセルやアップセル、LTV向上、コスト効率性向上、「BLAS」による競争力強化等のシナジーを最大化する。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 ベイシス Research Memo(7):2027年6月期は増収増益見込み、新中期経営計画の下で積極投資(3) 」