*12:47JST アイル Research Memo(7):2027年7月期は「成長投資加速期」と位置付けて減益予想
■アイル<3854>の今後の見通し

1. 2027年7月期連結業績予想概要
2027年7月期の連結業績予想は売上高が前期比9.1%増の22,800百万円、営業利益が同10.2%減の5,000百万円、経常利益が同10.1%減の5,040百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同15.1%減の3,546百万円としている。半期別には、上期が売上高10,923百万円、営業利益2,406百万円、経常利益2,425百万円、親会社株主に帰属する中間純利益1,719百万円、下期が売上高11,876百万円、営業利益2,593百万円、経常利益2,615百万円、親会社株主に帰属する純利益1,827百万円の計画である。売上面はシステムソリューション事業、CROSS事業とも成長を継続して増収・過去最高だが、利益面は減益予想としている。中期経営計画で掲げている「産業プラットフォーマーへの土台を築く成長投資加速期」と位置付けて、人的資本投資、クラウド関連設備投資を含めた開発投資、AI活用を含めた事業基盤強化投資を拡大する。また名古屋支社の移転(2026年11月予定)及び東京本社の移転(2028年3月予定)に伴う関連費用(二重家賃の発生を含む)という一過性要因も影響する。

通期ベースの売上総利益は同2.3%増の12,272百万円、売上総利益率は同3.6ポイント低下して53.8%、販管費は同13.2%増の7,272百万円、販管費比率は同1.1ポイント上昇して31.9%の計画である。この結果、営業利益率は21.9%で同4.7ポイント低下するが、引き続き20%超の高利益率を維持する。営業利益の同565百万円減益の要因分析は、増収による粗利増加で1,100百万円増益、給与テーブル見直しや人員増による人件費(販管費+原価)増加で700百万円減益、製品投資(製品開発やクラウド関連設備投資など)増加で500百万円減益、オフィス移転関連費用で300百万円減益、社内の仕組み・その他費用(社内システム刷新やAI投資など)の増加で165百万円減益の見込みとしている。人材採用は前期と同程度の新卒65名前後、キャリア採用25名前後を想定している。


■成長戦略
2026年7月期~2028年7月期は成長投資加速期
1. 中期経営計画(ローリングプラン)
同社は独自のCROSS-OVER戦略によって競争優位性を確立するとともに、長期的視点での収穫逓増型事業モデルによって信頼とノウハウを積み上げ、高成長を実現してきた。そして昨今のAI技術の普及など同社を取り巻く事業環境が変革期を迎えていると認識し、これまでの強みをさらに昇華させて将来にわたる企業価値の最大化を実現するべく、新たな将来ビジョン(目指す姿)を「“産業プラットフォーマー”としてサプライチェーンの再構築を進め、ユーザーの企業力をアップさせる」とした。顧客のサプライチェーン全体の再構築を主導し、卸売・製造・物流・小売から金融・人材に至るまで、多様な業種を単なるシステム連携にとどまらず有機的に結合させることを目指す。その共創ネットワーク(生態系)の中枢を同社グループが担い、顧客企業及びパートナー企業の企業力向上に貢献することを目指すという考え方である。

「産業プラットフォーマー」の実現に向けて、これまでのCROSS-OVER戦略をはじめとした「線」のビジネスから「面」のビジネスへと進化させるべく、重点施策としてデータの「蓄積」から「活用」による新たなビジネスモデルの確立、3つのテーマ(人材、R&D、社内の仕組み)を軸にした構造改革を推進する。具体的戦略として人材面ではAI人材の育成、基幹データを用いたデータ分析やコンサルティング力を兼ね備えた人材の育成、継続的な採用活動、1人当たり生産高の向上など、R&Dでは主力製品のアップデート及び他システムとの連携加速、AIを取り入れた効率的な開発手法の確立、AIを活用した製品・サービスによる「基幹×AI」の実現など、社内の仕組みでは迅速な経営判断を可能にする社内システムの刷新、AIツールの積極的な導入と活用、社内ノウハウを共有・活用できる社内システム・データベースの再構築などを推進する。年間人材採用数は新卒65名前後、キャリア採用25名前後を想定している。

このような考え方の下、2026年7月期~2028年7月期を成長投資加速期と位置付けて、将来の成長を実現するための事業基盤・経営基盤を構築する期間としている。そして2026年9月に策定した中期経営計画(2027年7月期~2029年7月期。事業環境の変化に応じて随時計画を見直すローリングプラン)では、最終年度2029年7月期の業績目標値を売上高27,000百万円、売上総利益14,778百万円、売上総利益率54.7%、営業利益6,700百万円、営業利益率24.8%、親会社株主に帰属する当期純利益4,677百万円とした。2027年7月期と2028年7月期については、前回計画(2025年9月策定)に対して売上高を上方修正した一方で利益を下方修正する形となったが、これは人的資本投資、開発投資、事業基盤強化投資を拡大し、名古屋支社及び東京本社の移転に伴う一過性費用も影響するためであり、2029年7月期には成長投資の成果によって最高益更新を見込んでいる。また中長期的には成長加速により営業利益率30%の達成を目指す。

なお同社は、現状の株主資本コストを7.5%程度と認識している。ROE(自己資本利益率)はおおむね30%台(2026年7月期33.2%)と株主資本コストを大幅に上回る水準で推移し、情報・通信業の平均を上回るパフォーマンスを出している。PBR(株価純資産倍率)については2026年7月末時点で4.1倍となった。情報・通信業の平均を上回る水準を維持して市場から一定の評価を得ているものの、ここ数年は低下傾向のため、中期経営計画で掲げた成長投資によって将来の成長スピードを加速させ、企業価値の向上につなげる。また同社は、海外投資家比率の上昇や海外投資家との取材増加を受けて英文開示資料の充実を図っている。こうした取り組みも評価され、2026年6月にはFTSE RussellのESGインデックス「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」構成銘柄に、前年に続いて選定された。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 アイル Research Memo(7):2027年7月期は「成長投資加速期」と位置付けて減益予想 」