*09:23JST ポールHD Research Memo(3):ゲームデバッグを起点に全方位サービスへ事業拡大を実現
■会社概要

3. 同社の強み
ポールトゥウィンホールディングス<3657>はゲームデバッグを中心に実績を重ね、ゲーム業界に関する深い知見を蓄積してきた。主な強みとして以下の4点が挙げられる。

(1)デバッグ・検証のリーディングカンパニー、ネットサポートでの実績
ゲーム分野では、日本初のデバッグ専業事業者として、6,000を超える家庭用ゲームソフト、10,000を超えるモバイルコンテンツに携わってきた実績を持つ。テスターのネットワークも国内で3千人超、海外で2千人超と大規模であり、デバッグのリーディングカンパニーとしての地位を確立している。CX分野においても、20年以上にわたり大手ネットサービスの監視・審査を手掛けてきた実績から、不正対策に関する知見を蓄積している。

(2)ゲーム業界への深い知見
ゲーム業界との強固な取引関係を背景に、ゲームの共同開発やチューニングなどのサービスも展開してきた。こうして蓄積した知見を国内外のグループ会社で共有し、事業拡大につなげている。

(3)海外展開
既存事業を中心に、M&Aを活用して展開地域を広げ、現在は海外15都市、約2,500名の体制で顧客にソリューションを提供している。現地企業に加えて日本から海外に進出する企業に対しても、サービス・ライフサイクルの上流から下流まで幅広いソリューションを提供できることも強みである。

(4)「システムとヒト」の同時活用による高品質サービスの提供
「システムとヒト」を同時に活用することで、提供するソリューションの品質を高めている点も同社の強みである。AIで代替できる業務が増えるなかでも、同社グループでは最終確認を「人」が担い、システムとヒトそれぞれの長所を組み合わせることで業務品質と生産性の向上を図っている。たとえば、デバッグ業務やサーバーモニタリング業務では、機械的に判断できるエラーの検知はシステムで行う一方、データ上は不具合と判断できないものの経験上「適切ではない」と考えられる箇所はスタッフが直接確認して報告している。品質の定義やエラーのパターン、不正行為の手口が日々変化するなかで、両者を併用することで柔軟性と効率性を高め、ソリューションの品質向上を実現している。

カスタマーサポート業務では、世界各国から現地語で寄せられる電子メールなどの問い合わせをAIで英語に自動翻訳し、スタッフが英語で作成した回答を自動翻訳してユーザーに返信する体制を整えることで、サポートセンターの集約化を実現した。デバッグ業務は、音や色合い、ゲームの世界観などに関する学習データが少なくAI化が難しい業務と位置付けられているものの、大量の反復テストを行う工程ではAIツールの試験的な活用を始めるなど、業界の先駆者として新たな取り組みも進めている。

4. 主な業務の競合状況
(1)国内ソリューション
ゲームデバッグの国内市場は、同社とデジタルハーツホールディングス<3676>の2社でほぼ二分されており、全体でも10社前後の寡占市場になっていると見られる。コンソールゲームでは同社が5割のシェアを握り、モバイルゲームではデジタルハーツホールディングスが若干上回る。また、アミューズメント(パチンコ・パチスロ)分野でも同社は7~8割のシェアを握っている。寡占状況にあるため収益性は安定しているが、人件費の上昇により以前と比べると若干低下傾向にある。このため、同社では顧客との交渉により価格改定を進めている。

ソフトウェアテストの分野では、SHIFT<3697>が業界トップの地位を築いており、デジタルハーツホールディングスやバルテス・ホールディングス<4442>がこれに続く。同社の事業規模はこれら大手に比べて小さいが、ゲームデバッグで培った運営ノウハウと高いサービス品質を強みとして、特定領域でのシェア拡大を目指している。

ネット監視業務の競合としては、イー・ガーディアン<6050>やアディッシュ<7093>のほか、大手CRM事業者などが挙げられる。イー・ガーディアンとは売上規模が同程度であるものの、同社が主にネットショップの出品物の不正チェックを手掛けるのに対し、イー・ガーディアンは動画・テキストの投稿内容の監視が中心であることから競合する場面は少なく、直接的な競合先は大手CRM事業者となる。顧客はネット監視業務を3社程度に外注しており、サービス品質に応じて取引シェアが変動する。同社は高品質なサービスを強みに主要取引先でのシェアを徐々に拡大しているが、AI技術の進化により単純業務の規模は縮小傾向にある。

(2)海外ソリューション
海外ソリューションでは工程や地域ごとに多くの競合が存在するが、ゲーム分野において同社と同様にサービス・ライフサイクルの上流から下流までを一気通貫で提供している企業としては、Keywords Studios Ltd.(英国)が挙げられる。同社は海外でのコスト競争力を維持するため、インドやブラジルなど人件費の安い地域にオフショア拠点を開設している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



<KA>

情報提供元: FISCO
記事名:「 ポールHD Research Memo(3):ゲームデバッグを起点に全方位サービスへ事業拡大を実現 」