*11:06JST ファンペップ Research Memo(6):次世代創薬技術の共同研究を積極的に推進
■ファンペップ<4881>の主要開発パイプラインの動向

3. その他の開発動向
(1) FPP003(乾癬、強直性脊椎炎)
抗体誘導ペプチド「FPP003」は、大阪大学大学院医学系研究科及び住友ファーマとの共同研究により同社が創製した開発化合物で、IL-17Aを標的タンパク質とする。IL-17Aは免疫反応に関するサイトカインの1つであり、幅広い免疫性疾患に関与しており、主なところでは乾癬※1や強直性脊椎炎※2などの疾患原因となっている。

※1 慢性の炎症性皮膚疾患で主な症状は、表皮細胞が異常増殖し、紅斑が生じて表面に鱗屑が付着・剥がれ落ちる。患者数は国内で約43~56万人、米国で800万人以上とされている。治療法は軽症から中等症は塗り薬などの局所療法が、中等症から重症患者に対しては光線療法(紫外線照射)や内服療法が行われるが、これらの治療法が効かない場合は、「コセンティクス(R)」や「ヒュミラ(R)」などの抗体医薬品が使用されている。
※2 強直性脊椎炎とは、青年期に発症する脊椎と仙腸関節を主な病変部位とする全身性の慢性炎症性疾患を指す。病変部位で靭帯と骨との付着部位に炎症・骨化が起こり、疼痛・膨張・運動制限などが見られる。症状が進行すると脊椎が強直(骨性に固まり動かなくなる)して日常生活能力が著しく低下するケースもある。原因は不明で根治療薬がなく、国の指定難病となっている。治療法としては、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)が使用されるが、効果が不十分な場合や副作用の問題がある場合には「コセンティクス(R)」や「ヒュミラ(R)」などの抗体医薬品が使用される。

乾癬を適応症としてオーストラリアで実施した第1/2a相臨床試験の結果(2023年12月発表)によると、安全性及び忍容性に問題はなく、抗体の産生も確認されるなど主要評価項目を達成した。しかし、探索的評価項目(有効性)については一定の改善傾向が確認されたものの、症例数が少なかったこともあり、有効性を明確に判断するまでには至らなかった。また、2023年8月より(国研)日本医療研究開発機構(AMED)の助成金を使って進めてきた強直性脊椎炎を適応症とした医師主導の臨床試験は、2025年5月に終了した。住友ファーマでは、自社パイプラインの開発方針などにより、2025年10月にオプション契約の終了を決定し、これを受けて同社は新たなライセンス先を探索することにしている。ただ、現状は「FPP004X」や「SR-0379」の開発にリソースを傾注していることもあり、同社における開発活動は控える方針としている。

(2) その他開発候補品
そのほかにも、複数の開発パイプライン候補となる抗体誘導ペプチドの開発をアカデミアとの共同研究も行いながら進めている。このうち、脂質異常症※や片頭痛を適応症とした開発候補品については化合物を特定し、パイプライン入りの段階まで進んでいる。

※ 脂質異常症とは血液中の脂質の値が基準値から外れた状態であり、一般的に過食や運動不足などの生活習慣によって生じることが多い。家族性高コレステロール血症のように、遺伝子変異が原因で遺伝的に脂質異常症を有するケースもある。

アカデミアとのそのほかの共同研究として、2023年11月に大阪大学大学院医学系研究科とアルツハイマー病(標的:リン酸化タウタンパク質)を対象としたワクチン開発に向けた共同研究、2024年2月に東京大学大学院医学系研究科と心不全(標的:IGFBP7)を対象とした治療薬の開発に向けた共同研究を進めている。いずれも対象患者数が多く市場規模の大きい疾患となるだけに、今後の動向が注目される。

(3) 次世代創薬技術の共同研究
そのほか、次世代創薬技術の特殊ペプチド(非天然アミノ酸を含む環状ペプチド)の研究を推進している。特殊ペプチドは低分子医薬品と高分子医薬品の間の中分子医薬品に該当する。低分子医薬品では結合できない標的分子を対象にできる一方、高分子医薬品より安定性や組織浸透性が高い。これにより従来のモダリティ(創薬技術)ではねらえない標的分子を対象にする創薬研究が可能となるほか、注射投与に限定されていた抗体医薬品に代わる経口剤として開発できる可能性もある。

直近では、2026年6月にCrafton Biotechnology(以下、Crafton)との間で抗体誘導ペプチド技術を活用した治療用mRNAワクチンに関する共同研究契約を締結した。Craftonは名古屋大学・東京科学大学の技術を基盤として設立されたバイオテクノロジー企業で、独自のキャップ化技術「PureCap(R)」※をはじめとする革新的なmRNA創薬プラットフォームを有し、製薬企業やアカデミアなど多様なパートナーとの連携を通じて、次世代mRNA医薬品の研究開発を推進している。今回の共同研究では、同社の抗体誘導ペプチド技術とCraftonのmRNA技術を融合し、新たな治療用mRNAワクチンの創製を目指している。設計したmRNAワクチンの合成をCraftonが、有効性の評価等を同社が担当する。

※ キャップ化技術によるmRNAの高純度化により、自然免疫の活性化が抑制され、発現性や安全性を高め、治療性能の向上につながる効果が期待される。

また、2026年6月にartience及びトーヨーケムとの間で、抗体誘導ペプチドの経皮吸収型製剤開発に関する共同研究契約を締結した。トーヨーケムはartienceグループのポリマー・塗加工関連事業の中核を担い、メディカル・ヘルスケア領域を注力分野として、経皮吸収型製剤や粘着剤、生体適合ポリマーなどの開発を行っており、経皮吸収型製剤ではCDMO(医薬品開発製造受託機関)事業を展開し、多くの製薬企業と受託研究・受託製造の実績を持つ。今回の共同研究では、注射剤と比較して侵襲性が低く、利便性及び安全性に優れた抗体誘導ペプチドの経皮吸収型製剤の開発を目指している。同社が動物試験での薬効評価及び安全性評価を、トーヨーケムがペプチドの経皮吸収製剤化検討等を行う予定だ。

これら共同研究の成果が出るまでには、一定の時間を要すると見られるが、将来の抗体誘導ペプチドの市場価値が拡大する取り組みとして注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 ファンペップ Research Memo(6):次世代創薬技術の共同研究を積極的に推進 」