*11:46JST STIフードHD Research Memo(6):「水産食品のブランド」への進化を目指す
■業績動向

2. 新重点施策
STIフードホールディングス<2932>は1日平均40万食を供給してきたが、前期に関西工場が稼働したことによって生産キャパシティが日産55万食に増強され、供給余力が各工場合計で1日15万食〜20万食生じることとなった。こうした供給余力を活かすため、まだ定性的な段階だが新たな重点施策を公表した。もちろん、主力のセブン-イレブン向けは引き続きコア事業として質量ともに拡充を図るが、セブン-イレブンと競合しないコンビニエンスストア以外の販売領域を拡大する方針である。そのため、世界一とも言われる日産55万食のチルドプラットフォームを基盤に、ブランド戦略及び養殖と輸出を強化し、「製造会社」から「水産食品のブランド」へと進化する考えである。ブランド戦略では、100年の歴史を誇る味の浜藤を旗艦ブランドに、独自技術の開発と特許化を一層推進する一方で、プレミアムやギフト、海外といった高付加価値市場での事業展開を進め、企業としてのブランドを確立する計画である。また、養殖事業への本格的な進出により、原材料の生産から輸出、加工技術供与なども進める方針である。これにより、川上と川下ともに強化して収益源の多様化と収益力の強化を図り、企業価値を飛躍的に向上させる考えである。

また、M&Aも積極的に活用し、養殖事業やペットフード事業、リテールの獲得・強化につなげる方針である。養殖事業については、戦略原料であるサーモンが、世界的に魚食ニーズの高まりにより20年で40倍に需要が拡大したと言われる一方、地球規模の気温上昇により海面養殖の将来性に黄色信号が点っている。このため、同社が地球規模で養殖の適地を探して費用対効果の高い養殖事業を創出、その後に国内において養殖事業を開始する計画である。適地については、海面養殖は将来性が厳しいうえ海水温上昇ですでに魚のサイズを大きくしきれなくなっていること、陸上養殖は大手商社などがすでに注力しているものの巨額の資金が必要なことから、同社はすでに養殖の事業化に成功している海外企業を狙ってM&A先を探しているところである。今のところサーモンが本命で、事業が軌道に乗れば他の魚種にもトライする考えである。

ペットフードについては、同社はすでに焼津でスタンダード価格のものを製造し、30億円程度の売上高を上げている。しかし、ペットの家族化を背景に世界的に高品質ペットフードへのニーズが拡大しているため、STIサンヨーで(株)Paw’s Greenを設立して高級タイプに進出、石巻にもペットフード製造ラインを新たに建設した。同社は、食品品質で培った水産加工技術を高付加価値ペットフードの製造に活かし、ペットフードとしてのブランドを構築する考えである。現在、事業拡大に向け製造と販売の両面でM&Aを検討しており、将来的に売上高を100億円程度に伸ばす意向である。このほか、味の浜藤に続き、ブランド力や自社チャネルを持つ小さなリテールをM&Aし、日本だけでなく世界に紹介していく計画である。


進捗は想定通り、通期は期初予想線着地へ
3. 2026年12月期の業績予想
2026年12月期の業績予想について、同社は売上高40,000百万円(前期比3.6%増)、営業利益2,600百万円(同1.5%増)、経常利益2,600百万円(同横ばい)、親会社株主に帰属する当期純利益1,700百万円(同31.7%減)を見込んでいる。下期の業績予想だけ見ると前年同期比4.3%増収、28.7%営業増益とハードルは上がるが、これは原材料価格高騰への対応のため2025年11月期下期の営業利益水準が低くなっていることが要因である。2024年11月期下期並みの営業利益水準へ戻れば達成できるため、実質的なハードルはさほど高いとはいえない。

水産原材料に特化した同社の焼き魚やカップデリなどのデイリー惣菜は、主要顧客であり「食」に強いセブン-イレブンの事業戦略のなかで、特徴ある惣菜商品として引き続き需要が伸びると見られている。また、引き続きリニューアルや商品開発を積極的に推進するとともに、新重点施策にも注力する考えである。中間期が終わって想定通り売上高や営業利益率が戻ってきていること、下期には食品製造販売事業で新技術を使った製品を久々に投入する計画であること、リテール事業ではブランド価値向上に向けて社長自らが試食して品質向上に努めていることなどから、通期業績は期初予想線に着地することが予想される。



■株主還元策
前期と同額の年間配当金40.0円を予定
1. 株主配当
同社は、利益配分について、株主への利益還元を経営の重要課題の1つと認識し、将来の企業価値向上と競争力の極大化及び企業体質強化のための内部留保を勘案しつつ、業績に見合った利益還元を行うことを基本方針としている。剰余金の配当は年1回を基本的な方針としており、原則として株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める旨を定款で定めている。なお、期末配当の基準日は毎年12月31日、中間配当の基準日は毎年6月30日とし、このほか、基準日を定めて剰余金の配当ができる旨を定款に定めている。内部留保資金については、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、今まで以上に競争力を高め、市場ニーズに応える技術・生産開発体制を強化するために有効投資していく考えである。以上を踏まえ、同社は連結配当性向30%を目途として業績に見合った利益還元を行うこととしている。これにより、2026年12月期の1株当たり年間配当金は40.0円(中間20.0円、期末20.0円)を予定している。


株主限定の同社商品3,000円相当を贈呈
2. 株主優待
同社は、株主の日頃の支援と愛顧に感謝するとともに、同社の商品及び事業への理解を深め、より多くの株主に中長期的に同社株式を所有してもらうことを目的に、株主優待制度を導入している。対象となる株主は、12月末現在の同社株主名簿に記載された300株以上保有の株主のうち、継続して1年以上保有する株主※で、対象株主に対しては年1回一律に株主限定の同社商品(3,000円相当)を贈呈している(3月下旬に発送の予定)。

※ 継続して1年以上保有する株主とは、6月末及び12月末の同社株主名簿に、同一株主番号で3回連続して300株以上の保有が記載または記録されている株主のこと。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 STIフードHD Research Memo(6):「水産食品のブランド」への進化を目指す 」