*14:37JST ダイナパック Research Memo(7):M&Aと海外事業を成長エンジンに収益拡大を図る
■中期経営計画

2. 成長戦略
ダイナパック<3947>の中期経営計画では、「現在の深化と未来の創造」をテーマに「既存事業の強化」と「成長分野の取り込みと創出」の2つを成長戦略として取り組んでいる。
(1)既存事業の強化
主力事業である段ボール事業では収益力強化を図るべく、以下の4点を重点施策として各拠点で四半期ごとに改善提案も行いながら収益力の強化に取り組んでおり、売上原価率の改善要因となっている。

a)適正生産量で利益最大化を実現する商品・顧客ポートフォリオへの組み換え
人手不足や残業時間が制限されるなかで、生産性をいかに向上させ、時間当たり収益を最大化できるかを、各事業所にて議論を進めている。同社グループの事業所では、段ボールシートと段ボールケースの2つの製品形態で状況に応じて生産・出荷している。粗利率は段ボールケースよりも段ボールシートが低くなるため、段ボールケースの構成比を高めていくことが最善ではあるが、貼合工程の稼働率維持を考えると一定割合は段ボールシートも生産する必要がある。このため、この比率を最適化していくことで粗利率の改善に取り組んでいる。

次のステップとして顧客ポートフォリオの見直しを進めていく。大量ロットを発注する顧客に対しては1ケース当たりの粗利額が低くても、数量増効果により生産性が向上し、利益額としては大きくなる。一方で、小ロットのユーザーについては1ケース当たり高い粗利額が取れるものの、生産性という面では低くなるため、これらのバランスの最適化や適正価格での販売に取り組み、利益の最大化を目指す。

b)原価分析から弱点を明確にし、原価率低減に直結する改善活動
売上原価に占める費用としては材料費が最も高いが、量産時に製造ラインが止まることでロスが発生するケースがあり、これを改善していくことで原価率の低減を図る。設備機械の老朽化や電気系統のトラブルのほか、段ボール原紙の質の変化によってもラインが停止してしまうことがある。ラインが停止すれば投入中の原材料がすべて廃棄処分となるほか、稼働を再開するために必要となる人員のコストもかかるため、トラブル発生等による一時停止の発生頻度を少なくすることで原価率や労務費率を低減することが可能となる。また、設備トラブル以外でも注文ロット数が少ないと、印刷工程などで機械設備を止める回数が増え生産性が低下する要因となるため、これらの改善を進めていく。こうした取り組みにより製造ライン当たりの人員数を最適化することで、自然減による人員補充も不要となる。

c)物流クライシス2024への対応
物流の2024年問題によって物流コストが上昇しており、物流効率の向上を図ることも重要課題となっている。物流コストの増加分については、顧客にも値上げ交渉を進めることで対応し、売上比率で6%程度の水準にとどめているが、さらなる効率化を図るため複数の取り組みを進めている。

具体的には、トラックの積載効率を高めるための配送頻度の見直し(毎日配送から隔日配送)や、納品時間の変更(朝一番とする顧客が多いが、待ち時間短縮のため昼間の時間などに分散してもらう)などの交渉を顧客と行っている。そのほか、危険作業(リフトで2階まで運搬する作業)の排除や、原材料の配送に帰り便のトラックを活用するなど配送ルートを工夫することでコスト低減に取り組んでいる。

現在、こうした取り組みは各事業拠点で担当者を配置し管理してきたが、属人的になりがちで拠点間で取り組み状況にバラつきが生じていた。こうした課題を解消すべく2025年4月に物流部を新設し、グループ全体の物流を一元管理することで効率アップを図ることにした。同年秋には一元管理を可能とする新物流システムを導入し、本格運用もスタートした。現在、各事業所におけるトラックの積載効率や待ち時間、回転率など各種データを収集・分析している段階にあり、全体最適化による物流効率の改善効果は2027年12月期から顕在化する見通しである。

d)サステナビリティ経営の推進
温室効果ガスの排出量削減など環境に配慮した事業運営を行うとともに、働きやすい職場環境づくりに取り組むことで社員のエンゲージメントを高め、生産性向上につなげていく取り組みを推進している。

温室効果ガスの排出量については、ボイラー関係の省エネ化やガス化、消費電力の省エネ化や太陽光パネルの導入などにより、2013年に29.5千トンだった排出量のうち、35%(10.3千トン)を2030年までに削減する目標を掲げており、2025年までに22%(6.5千トン)の削減を達成している。2026年の取り組み実績として、1月に静岡事業所にてボイラー燃料を都市ガスに切り替えた(年間削減効果は約324トン)ほか、川越事業所にて高効率ボイラーシステムを導入(同約200トン)、7月に土岐ダイナパックにて自社保有型の太陽光発電システムを導入(同約41トン)した。今後も同様の取り組みを国内外の事業所で進め、目標達成を目指す。

(2)成長分野の取り込みと創出
自社が保有しない経営資源をM&Aなどで取り込むことで成長を加速していく。M&Aの対象として、国内では段ボール業界における中小企業の淘汰が続くことから、シナジーが期待できる案件を中心に精査してグループ化を進めながらシェア拡大を図っていく方針である。一方、海外では経済成長率の高い東南アジアで拠点を拡大すべく、M&Aを引き続き検討していく。特にベトナムはGDP成長率が2026年以降も6%以上と高い伸びが見込まれており、M&Aだけでなく既存子会社の能力増強も含めて積極投資を行い、今後の成長エンジンとしていく戦略である。


成長投資に200億円を投下、株主還元額は目標の25億円を超過見通し
3. キャッシュ・アロケーション
2026年12月期までの3年間累計のキャッシュ・アロケーションの考え方として、キャッシュ・インについては営業キャッシュ・フロー120億円と政策保有株式の縮減及び有利子負債の調達で105億円の合計225億円を見込み、キャッシュ・アウトとして成長投資に200億円、株主還元(自己株式取得を含む)に最大25億円を充当する計画としていた。成長投資の内訳は、既存事業強化のための投資が65億円、M&Aなどの成長戦略投資が135億円となる。M&Aについてはこれまで91億円で3社をグループ化しており、引き続きM&Aの検討を進めている状況にある。一方、株主還元については業績が当初目標を上回る見通しとなったことで、25億円を上回り28.8億円程度となる見通しである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 ダイナパック Research Memo(7):M&Aと海外事業を成長エンジンに収益拡大を図る