*15:07JST 巴川コーポ Research Memo(7):世界シェア90%超の実装用テープを基盤に、新たな成長軸を育成(1)
■半導体・ディスプレイ関連事業

半導体・ディスプレイ関連事業は、1) 半導体実装用テープ、2) 半導体関連部品、3) 光学フィルムの3ユニットで構成される。2026年3月期は売上高7,182百万円(前期比10.0%増)、営業利益1,045百万円(同29.9%増)と全社の増益をけん引した。生成AI/AIデータセンター投資を起点とする半導体設備投資(WFE)の拡大局面において、巴川コーポレーション<3878>は「熱・電気・電磁波」のコントロール技術を武器に、後工程材料から製造装置向け熱制御部品まで裾野を広げつつある点が注目される。なお2027年3月期第1四半期も、光学フィルムの好調と半導体実装用テープの前倒し発注により売上高2,340百万円(前年同期比29.1%増)、営業利益424百万円(同31.7%増)と好発進したが、会社は下期に前倒し発注の反動を見込んでいる。通期では、会社計画における同事業の売上高は約87億円、営業利益は7.8億円となる見込みで、前期比では増収減益を計画している。

半導体市場環境(同社集計)
同社が2026/3期決算説明会で調査会社レポートをベースに集計した市場予測では、半導体製品市場は2024年から2027年にかけて拡大が続き、半導体製造装置市場もウェハーファブ装置(WFE)を中心に2023年の約100(10億ドル)から2027年に約148(同)へ緩やかな拡大が見込まれるとした。

(1)半導体実装用テープ ── 後工程の必須材料、リードフレーム固定テープで世界シェア90%超
同ユニットの中核はICチップ搭載用リードフレーム固定テープで、分散・処方・熱・電気制御技術を基盤に、発売以来40年にわたり市場シェア90%超という圧倒的地位を維持している。半導体後工程における事実上の業界標準品であり、日系リードフレームメーカー及び海外OSATとの強固な結び付きが参入障壁となっている。パッケージ薄型化・多ピン化・高放熱化という先端実装の潮流のなかで、新しいパッケージ用テープへの展開余地は大きい。

現在、高速通信・センシング分野に対応した新製品投入も進めており、AI/HPC向け先端パッケージ(FC-BGA、ファンアウト等)の裾野拡大は中長期の追い風となる。

2026年3月期は堅調に推移し40.6億円(前期比11.7%増)と2ケタ増収を確保し、2027年3月期についても先行発注による一時的な増加ではなく、レガシー半導体を含めた順調な拡大が見込める。

(2)半導体関連部品 ── 静電チャック・フレキシブル面状ヒーターが次世代の柱
半導体関連部品はポリイミド静電チャックで20年以上のOEM供給実績を持ち、世界トップレベルのシェアを有する。2026年3月期は6.0億円(前期比25.0%減)と一時的に減少したが、これは新型静電チャックの製品化延期(次世代半導体製造装置向けは2028年以降に量産化を計画)に伴い、当面は従来の樹脂製静電チャックの売上にとどまるためである。高密度化に伴いパーティクル低減の表面加工精度やきめ細かいウエハ温度制御技術、短納期化、長寿命化が要求されるなか、同社はこれに対応できる製品開発を進めており、前年度は開発品が不採用となったことで低調な数字となったが、次世代向けに開発が進んでおり、2029年3月期以降に大きなインパクトをもたらす潜在力の高い戦略製品と位置付けられる。

フレキシブル面状ヒーターに用いるステンレス繊維シートと、高性能ヒートシンクに用いる銅繊維シートは、いずれも機能性不織布ユニットの特殊抄紙技術を基盤とするが、それらを求められる製品に加工していくプロセス開発のために、限られた開発リソースをどちらに振り向けるかというトレードオフの関係にある。前期においてもステンレス繊維シート需要の高まりに対応して増産する一方でヒートシンク向け投資を抑制した経緯があり、今回の方針はこの優先順位付けを明確化したものと言える。結果として、半導体・ディスプレイ関連事業の成長ドライバーは、フレキシブル面状ヒーター及びOLED向け光学フィルムに一層集約される構図となろう。

(3)フレキシブル面状ヒーター「iCas MHE」/通気性ヒーター「iCas MCT」 ── 省エネ×半導体装置の成長ドライバー
フレキシブル面状ヒーター「iCas MHE」は、独自開発のステンレス繊維シートを発熱体として利用した製品で、2023年12月にはエッチング装置大手である東京エレクトロン<8035>から「環境パートナー賞」を受賞するなど注目度が高い。一般に、半導体工場の電力使用において製造装置にかかるものは約50%であり、そのうちの約20%が加熱に使われるとされ、本製品による加熱電力消費量の半減余地は大きい。加熱ヒーター市場はマントルヒーター(ガラス等の耐熱繊維で被覆した電熱線を保温材で包み込んだ加熱・保温装置)として400億円程度と見られ、独自開発製品ゆえより広範な販売・展開が見込まれる。

さらに2026年公表の説明会資料では、通気性ヒーター部品「iCas MCT」が(株)ニコンの半導体露光装置(NSR-S215D)に採用されたことが明らかにされた。露光装置という前工程の中核装置に採用された意義は大きく、面状ヒーター群が半導体前工程・後工程の双方で採用実績を積み上げつつあり、事業の質的転換を示すものとして評価できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 巴川コーポ Research Memo(7):世界シェア90%超の実装用テープを基盤に、新たな成長軸を育成(1)