今後は、NECは「NEC 2030VISION」の下、環境・社会・暮らしの三領域での価値創造を掲げ、中長期的な成長基盤の確立を目指している。来期以降の中期経営計画の開示を待つ状況ではあるが、ITサービス分野では、BluStellarを中心にコンサルティング起点のEnd to End型ソリューションを展開し、海外IT事業においても、欧州3社(SWS、KMD、Avaloq)の利益率改善が進み、各国の行政・金融ソフトウェア需要に応じた提供価値の高度化が期待される。社会インフラ分野においても言わずもがな、持続益な成長が続くと想定できる。そのほか、主に利益面の成長を意識しているようだが、26年3月期までの中期5カ年経営計画で5,000億円の成長投資枠を設け、残り4,000億円程度の投資枠もある。キャピタルアロケーションの方針に変更はなく、成長領域への積極的な投資を最優先 (財務健全性は維持)や安定的増配の実施を掲げている。海外売上20%程度とやや低い水準となっているため、海外で一定のプレゼンスを確保できるか、海外企業の買収含めて戦略的なM&Aが展開されるか注目しておきたい。総じて、2024年以降株価は大幅に上昇している状況だが、国内外の社会インフラを担う国策銘柄として、過去最高値(2000年につけた6,900円)更新に向かって同社の今後の動向を見守りたいところである。