*14:26JST テノックス Research Memo(6):北海道新幹線延伸事業ピークアウトで中計の踊り場 ■テノックス<1905>の業績動向

2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績見通しについて、同社は売上高23,500百万円(前期比0.9%減)、営業利益900百万円(同19.3%減)、経常利益950百万円(同18.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益650百万円(同13.3%減)と見込んでいる。北海道新幹線延伸事業がピークアウトするため減収減益予想となったが、利益水準は2024年3月期までと比べて依然高水準にあるといえよう。

日本経済は、緩やかな回復が続くことが期待されるものの、長期化するウクライナ情勢、米国の通商政策の動向などの地政学リスクや物価高騰に伴う個人消費の減速などが危惧され、先行きは不透明な状況が続くと見られている。建設業界においては、公共事業は防災・減災・国土強靭化対策などにより底堅く推移すると見込まれ、また、民間投資は企業収益の改善を背景に堅調に推移していくことが期待されている。しかしながら、建設資材価格の高騰や人手不足などによる投資計画の延期・見直しの懸念、現場従事者の慢性的な不足など構造的な課題を背景に、業界を取り巻く環境は厳しくなることが想定される。

このような環境下、同社は、引き続き中期経営計画の重要戦略に沿って事業を推進する方針で、人財戦略を展開しつつ、新工法のCP-X工法とテノキューブ工法の提案を進め、また液状化に対し強靭なインフラの構築を支援する計画である。環境対策としては、電動小型杭打機「DHJ-15E」や環境配慮型RD燃料の普及に努める方針だ。また、ベトナムでは、バリューチェーンの構築に向けてコンクリートパイルメーカーを買収する予定である。この結果、売上高は、北海道新幹線延伸事業がピークアウトするが、地盤改良工事の回復や新工法などにより微減収にとどめる考えだ。利益面では、賃上げや人員増による人件費増加と、好採算だった北海道新幹線延伸事業のピークアウトを想定、さらに基礎工事特有の地中のリスクを考慮して2ケタ減益予想とした。

事業別では、国内土木事業は、地域に密着した新規案件の受注に注力するものの、北海道新幹線延伸事業の売上高がピークアウト〜完了することで半減以下となるため、2ケタ減収を見込んでいる。国内建築事業は、人員と設備機械が北海道から戻ってくることもあり、先送りされていた工場案件を取り込み地盤改良工事が増加、加えて液状化対策や新工法の貢献が見込まれるため、大幅増収を予想している。特に液状化対策は、地震被害などへの対策が重視される昨今、病院や消防署など重要構造物に対して杭だけでなく地盤改良を施す例も増えている。ベトナムは、経済が好転するなか、施工会社やコンクリートパイルメーカー買収によるバリューチェーン構築が奏功し、大幅増収を計画している。なお、予算にはベトナムのコンクリートパイルメーカー買収の費用を含んでいるが、一部資産計上するため大きく影響せず、むしろ売上の伸び以上に利益が増える状況となることで、大幅増益を予想しているようだ。土木建築コンサルティング事業は、前期に増えた実験・試験業務及び解析業務をさらに増やすとともに、前期少なかった設計を増やす予定で、大幅増収を見込んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

<HN>
情報提供元: FISCO
記事名:「 テノックス Research Memo(6):北海道新幹線延伸事業ピークアウトで中計の踊り場