(1) 成長戦略の推進と新たな価値創造 a) 国内食品事業 国内食品事業では、好調カテゴリーの生産ラインを増強し、既存領域を拡大して売上高の増加を図る。収益が秋冬に偏る季節性の緩和を目指し、即食・簡便ニーズに応えたバータイプ商品や独自技術を生かしたキャラクター商品、麺状商品などの開発を促進する。また、買い置き需要や食品ロス対策でニーズが広がるレトルト商品などロングライフ商品も拡充する。さらに、高タンパク・低脂質・ロカボ(糖質オフ)・減塩など商品の特長を健康志向とおいしさの両面から訴求し、「紀文=健康」のイメージを確立する。日本の伝統文化であるお正月やおせち料理の保護・継承につながるよう、正月商戦にも引き続き注力する。既存領域以外では、農畜水産品の商事販売やスリミ製品・健康志向商材の業務用販売などチャネル開発を強化することで、売上規模の拡大を図る。さらに、同社グループが有する様々な経営資源を活用して新規分野に挑戦し、事業領域の拡大を図る。
b) 海外食品事業 海外では、主力商品で強みのあるスリミ製品を中心とした日本食をコアに、加工食品事業に加えてトレーディング事業と直販事業を強化、展開エリアの市場特性や市場ニーズに適した戦略を展開することで、持続的な成長を達成する計画である。エリア別戦略では、タイでは、加工食品事業に特化し、生産効率の向上や新たな原材料調達、ライン増設、MSC認証※の取得、カニカマの一部生産工程の自動化・省人化などにより製造能力を強化するとともに、タイ国内のシェア上昇と輸出販路の拡大を狙う。アジア・オセアニア地域では、カニカマなどコスト優位性のある練り製品を強化する一方、地域それぞれの食シーンに合わせてチーちく(R)を展開、また納豆や甘味などの日本食材の拡販にも注力する。なかでも成長著しいインドネシア、インド及びニュージーランドでトレーディング事業を展開、直営飲食店による直販事業やEC事業の強化も進める。北米・欧州では、カニカマで品質と価格をバランスした製品と価格指向の製品を2面展開し、中南米への販路も拡大する。スリミ製品以外では麺状商品である「Healthy Noodle」の米系スーパーへの導入を促進する。加工食品事業以外では、紀文ブランドの認知拡大、農畜産品の輸出拡大、新アイテムの発掘など日本食のトレーディング事業を強化し、直販事業では「Healthy Noodle」でEC事業に参入する。中国では、カニカマで既存顧客を深掘りするとともに業務用の販路拡大を進め、同市場では新規商材となる「Healthy Noodle」を売り込む。トレーディング事業では健康価値を高める食品の輸入や中国産食材の輸出などを強化し、直販事業ではEC事業への取り組みを強化する。
c) 食品関連事業 強みであるチルド温度帯での共同配送や専用センター網などチルド物流ネットワークにより、長年蓄積してきた運用ノウハウを活用しつつ物流の輸送能力不足への問題(2024年問題)にも対応、高まるニーズを受けて拠点を拡大し、成長につなげる方針である。また、チルド以外の温度帯や流通加工業務の強化も推進するなど、業容の拡大も図る。