*17:02JST テラスカイ Research Memo(2):Salesforceを主軸に展開するクラウドインテグレーション企業 ■会社概要

1. 会社概要
テラスカイ<3915>は、2006年の創業時からクラウドシステムの開発・導入支援に特化し、国内クラウド市場の成長をけん引してきたクラウドインテグレーション企業である。Salesforceを中心にクラウドシステムの累計導入実績は同社単体で7千件超、連結ベースで2万件超(2025年2月末時点)となっており、業種・企業規模を問わず様々な開発案件を手掛けてきた。子会社は国内10社、海外2社となり、なかでもAWSの導入支援やSAPシステムのクラウド移行支援を行うBeeX(出資比率69%)は同社に次ぐ事業規模に成長した。また、持分法適用関連会社としてキットアライブ(同49%)がある。クラウド市場の旺盛な需要に応えるため積極的に人的リソースを拡充しており、2025年2月期末のグループ従業員数(キットアライブ含む)は1,470名と5年間で2.8倍に拡大した。

2. 沿革
同社は、2006年に現 代表取締役CEO社長執行役員の佐藤秀哉(さとうひでや)氏によって設立された。佐藤氏は、日本アイ・ビー・エム(株)からSalesforce, Inc.の日本法人に転じ、その立ち上げに参画した経歴を持つ。クラウドサービスが企業の情報システムとして普及することを予見し、創業当初からSalesforceを中心としたクラウドシステムの開発・導入支援に特化して事業を展開してきた。

2008年に製品事業として、クラウドシステムの利便性向上に資する開発支援ツール「SkyEditor(現 SkyVisualEditor)」※1、2016年に次世代版グループウェアの位置付けとなるコミュニケーション・プラットフォーム「mitoco」※2、2017年にクラウド型データ連携サービス「DataSpider Cloud(現 mitoco X)」※3の開発・提供を開始し、それぞれ導入社数を伸ばしている。

※1 Salesforceの画面開発ツールで、各企業が自社の利用しやすいようにSalesforceの画面をカスタマイズする際に使われる。
※2 Salesforce基盤上で利用可能なコミュニケーション・プラットフォームで、社内のコミュニケーションツール(掲示板、トーク等)やワークフロー、文書管理、カレンダー機能を提供、IoT連携による会議室予約機能等がある。モバイルアプリにも対応しており、社外の協力パートナー等との外部連携も可能である。
※3 (株)アプレッソ(2019年4月にセゾン情報システムズ(現 セゾンテクノロジー<9640>)に吸収合併)との共同開発品で、各種クラウドサービスと社内のデータベースやアプリケーション等のシステムをノンプログラミングで連携できるサービス。2023年9月に共同開発元から一部権利を譲受し、「mitoco X」(自社単独サービス)として開発・提供を進めている。

また、クラウド市場における事業領域を拡大するため、子会社の展開も推進している。2014年にサーバーワークス<4434>と合弁でAWSの監視・保守サービスを行う(株)スカイ365を設立したのを皮切りに、2016年にBeeX及び北海道を拠点にクラウドシステムの導入支援を行うキットアライブ※を、2019年にはベンチャー企業の投資・育成を行う(株)テラスカイベンチャーズ、量子コンピュータの性能を最大限引き出すアルゴリズムを研究開発するQuemix、タイでクラウドシステムの開発・導入支援を行うTerraSky (Thailand) Co., Ltd.を相次いで設立したほか、ECサイトやWebアプリケーション開発などを行う(株)Cuonの全株式を取得し子会社化した。2021年にはGoogleのクラウドプラットフォーム上でデータ分析基盤の構築などを行う(株)リベルスカイ、クラウド技術者の派遣・紹介事業を行う(株)テラスカイ・テクノロジーズを新設したほか、AIプラットフォームの開発・導入支援を行う(株)エノキ(旧 アイフォーカス・ネットワーク(株))を子会社化、2022年にはSalesforceのMAツールの導入支援を行う(株)DiceWorks(ダイスワークス)を設立した。2024年にはNTTデータと、Salesforce事業のリソースを相互活用してさらなる事業拡大を図るための資本業務提携を行った。

※ 2022年9月に札幌証券取引所アンビシャス市場に株式上場したことに伴い連結対象子会社から外れ、持分法適用関連会社となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 テラスカイ Research Memo(2):Salesforceを主軸に展開するクラウドインテグレーション企業