a) 収益性向上のための構造改革 新・中期経営計画第I期「創る力」においても適正な在庫管理などをはじめとした収益性向上施策を進めてきた同社は、DXによるさらなる改革に注力する。全社の営業データを見える化し、データに基づいた効果的な営業戦略を推進するほか、徹底した在庫管理に加えて、データ分析を活用した最適なコストを実現し、利益の最大化を追求する。その他の施策としては、広域に活動する営業部隊である販売推進事業部を新たに設置し、組織横断型の販売活動の推進と未開拓地域の商圏開拓などに注力する。
b) 事業品・全社取組商材の販路拡大 同社が出資している海外パートナーの商材及び国内生産品である事業品、同社の強みである調達力を生かした一括仕入れ商材である全社取組商材の販売拡大に注力し、量販店を中心とした新規顧客の開拓や既存顧客との取引深耕による業績の拡大を図る。事業品とは、ノルウェーサーモン、自社凍結加工品(前浜商材)、エビ、ペルー水産品などのことであり、全社取組商材とは、大西洋サバ、うなぎ、北海道産ホタテ、十勝産農産品などのことである。
c) 独自商品と販売網の開発 メーカー機能の強化により、多種多様な消費者のニーズに応えられる満足度の高い商品開発を推進するほか、ECサイトと直販店の開設、海外への日本食販売の推進により、販売網を模索する。B2Cビジネスにより消費者のニーズを吸い上げて、適切に製品開発に反映させる方針であり、具体的には、レンジアップ商品、新鮮な刺し身、医療食などを開発する。また、各地の買参権を生かした高付加価値製品の開発により、収益性の向上も実現する。
これらの持続可能な社会の実現に向けた取り組みは外部からも評価されている。実際、2023年7月には、ESG対応に優れた日本企業のパフォーマンスを測定するために設計された指数である「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に選定されたほか、各セクターにおいて相対的にESGの対応に優れた企業で構成される「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」構成銘柄にも引き続き選定されている。ウクライナ情勢によって一時的に石炭回帰などの動きが見られるものの、長期的な視点で見れば持続可能な社会への移行という潮流に変化はないと弊社は推察する。そういった時代のなかでESG関連の投資資金の流入も期待される状況である。