(1) 成長戦略 a) 新商品・新サービスの開発 昨今、自動ドアに対するニーズは、感染症対策としての非接触ニーズや、SDGs対応によるハンズフリーニーズ、低炭素社会の実現に向けた省エネニーズなど多岐にわたっており、将来的に自動ドア市場及びリニューアル市場の双方にニーズの多様化が一層進んでいくと考えられる。同社では、これまでも他社との共同開発により「eメディアドア」や「ソーシャル アイ」「ミライロドア」など、新機能を備えた商品をリリースしてきた。今後は、連結子会社のワイズ・コーポレーションの得意分野であるセキュリティや制御技術を活かした新商品の開発と既存商品の改良を進めていく。
b) 収益構造の改善 現在、自動ドア・建具関連事業の新規市場では、施主・デベロッパーや設計事務所から元請のゼネコン・サッシメーカーに同社を推薦してもらい、元請から受注するBtoBの取引が主体となっている。しかし、メンテナンス・リニューアルのストック市場においては、施主や管理会社から直接受注するBtoCの取引となっているため、収益性が高い。2024年12月期は売上に占めるBtoCの割合が53%だが、これを2027年12月期には58%、2030年12月期には61%まで高めていく方針だ。そのために、市場規模が大きく、自動ドア据付台数のシェアが15%(同社試算)にとどまる首都圏のストック市場を深掘りしていく。2025年3月には関東地区14番目の拠点として、つくば営業所を開設した。メンテナンスでは、保守契約台数を増強する。2024年12月期末の92,048台を2030年12月期末には101,000台以上に伸ばす計画だ。具体的には、「Fi-R」を拡大させ、ローコストで効率的なメンテナンス体制の構築に取り組む方針だ。同社にとっては、保守要員の生産性向上、労務コストの低減、ひいては収益力の強化につながる施策だ。そのほか、保守要員にウェアラブルカメラを装着させ、現場での修理・点検作業について札幌コールセンターの技術者から指示を受ける取り組みを開始するなど、保守要員の早期戦力化、保守サービスの効率化に取り組んでいる。
c) 事業領域の拡大 既存のカバーエリアに加えて、中部・西日本エリアなどの未進出エリアへ販売拠点を展開していくことを目指す。2021年1月に進出した九州地区では、着実に実績を積み上げている。九州地区での成功体験を横展開していく方針だが、同社だけの経営資源では限界があるため、現地の自動ドア・建具販売業者などと連携して展開していくことを想定している。また、同社では、自動ドア駆動装置、建具、セキュリティシステムなどを個別リニューアルするのではなく、1つの自動ドアユニットとしてリニューアル受注するトータルリニューアルを推進している。2023年12月期の自動ドア関連事業のリニューアル売上2,950百万円のうち、トータルリニューアルは533百万円であった。今後はトータルリニューアルからさらに踏み込んで、床・壁工事、宅配ボックスの設置、駐輪場のリニューアル、オートロックシステムなど、エントランス全体をリノベーションしていく。