*12:03JST みずほリース Research Memo(3):リース取引を中心に各種金融サービスを展開 ■事業概要

1. 事業の概要
みずほリース<8425>はリース取引を中心に各種金融サービスを展開している。リース取引とは、借手となる顧客(企業等)が希望する物件(産業機械、工作機械、事務用機器、輸送用機器、医療機器、商業設備、物流施設等)を、リース会社が顧客に代わって購入し、顧客に賃貸する取引である。リース物件の所有権はリース会社にあり、リース会社は顧客から物件価格・金利・諸税・保険料等を含めた代金をリース料として受け取る。リース取引の分類としては、ファイナンスリースとオペレーティングリースの2種類があり、ファイナンスリースは、契約期間中に契約を解除できず(解約不能)、かつ物件価格と諸経費の概ね全額をリース料として借手が負担する(フルペイアウト)取引である。ファイナンスリースは、さらに、リース資産の所有権が借手に移転する「所有権移転取引」と、リース会社に留まる「所有権移転外取引」に分類される。一方、オペレーティングリースは、資産の所有権がリース会社に残り、契約終了時には資産を返却するのが一般的である。リース取引を利用することによる借手側のメリットとしては「設備導入時に多額の資金が不要」「設備の使用予定期間にあわせてリース期間を設定できる」「資産のアウトソーシング効果が得られる」などがある。


セグメント別ではファイナンスが拡大基調

2. 報告セグメント別の推移
決算短信・有価証券報告書ベースの報告セグメント区分はリース・割賦(不動産、産業・工作機械、情報関連機器、輸送用機器、環境・エネルギー関連設備等のリース及び割賦販売業務)、ファイナンス(不動産、航空機、船舶、環境・エネルギー分野等を対象とした金銭貸付、出資、ファクタリング業務等)、その他(中古物件売買、発電事業等)としている。

セグメント別に見ると、営業利益についてはファイナンスが拡大基調であり、2024年3月期時点の営業利益構成比(全社費用等調整前)はリース・割賦が56%、ファイナンスが44%で2本柱となっている。契約実行高については、リースのうちファイナンス・リースが減少傾向となっているのに対して、オペレーティング・リースが拡大基調となっている。また期末営業資産残高で見ると、ファイナンス・リースが横ばいであるのに対して、オペレーティング・リースとファイナンスが拡大基調となっている。


差引利益は順調に拡大、営業資産残高は不動産・環境エネルギー関連が大幅増加

3. 事業分野別の推移
同社は決算短信ベースの報告セグメントとは別に、事業分野別の区分(国内リース事業、不動産・環境エネルギー事業、ファイナンス・投資事業、海外・航空機事業)で収益及び営業資産残高を公表している。なお事業分野別の収益は、2025年3月期中間期より差引利益から売上総利益に変更している。

2024年3月期の差引利益額を2021年3月期と比較すると国内リース事業が1.2倍、不動産・環境エネルギー事業が2.0倍、ファイナンス・投資事業が1.4倍、海外・航空機事業が2.2倍、合計が1.5倍となり全事業とも順調に拡大している。差引利益額の構成比で見ると、2024年3月期は国内リース事業が43.3%。不動産・環境エネルギー事業が30.6%、ファイナンス・投資事業が3.9%、海外・航空機事業が22.0%だった。成長率の高い不動産・環境エネルギー事業と海外・航空機事業の構成比が大幅に上昇し、差引利益段階では、海外・航空機事業が、国内リース事業、不動産・環境エネルギー事業に次ぐ形となっている。

期末営業資産残高で見ると、国内リース事業はやや減少傾向だが、不動産・環境エネルギー事業と海外・航空機事業が増加基調となっている。そして営業資産残高の構成比は、国内リース事業が2021年3月期末の66.0%から2024年3月期末時点の49.5%まで低下したのに対して、不動産・環境エネルギー事業が18.8%から35.7%まで上昇した。これは、岩盤収益基盤となるコア分野(産業・工作機械、情報関連機器、輸送用機器等の既存の国内リース事業)の着実な拡大を図りながら、成長性の高い環境エネルギー等のグロース分野や、サーキュラーエコノミー等のフロンティア分野への事業展開を加速させているためである。


強固な顧客基盤、事業基盤、資金調達基盤、人材基盤が特徴・強み

4. 特徴・強み、リスク要因・収益特性、課題・対策
同社の特徴・強みとしては、みずほグループという我が国屈指の企業グループを中心とする強固な顧客基盤、優良アセットを積み上げた事業基盤、徹底したリスク管理、業界トップ水準の外部信用格付に基づく資金調達基盤、リース取引や金融サービスに関する豊富な知識・ノウハウを持つ人材基盤などがある。

リース業界における一般的なリスク要因としては、世界経済低迷や金利・為替の急激な変動等による企業の設備投資抑制、取引先の業績悪化・経営破綻等による信用コストの発生、保有するアセットの価値下落、信用格付等による資金調達への影響などがある。こうした需要変動リスク、信用リスク、アセットリスク、資金調達に係る流動性リスクや金利変動リスク、自然災害リスク等に対して、同社は経営への影響を低減するため、リスク管理グループ長が全社的視点でリスクマネジメントを統括・推進するとともに、各リスク所管部門を通じてリスク事象に対して迅速かつ機動的に対応する体制を整備している。各リスク所管部門は、事業に関連するリスクの把握・制御を適時に実施するとともに、実効性を検証する。そしてリスク管理委員会において、リスク低減に関する諸施策の遂行状況、浸透状況や有効性に関する検証を行い、その結果を取締役会に報告している。

同社の業績は資産売却、M&A関連費用、信用コスト等の一時的要因で変動する可能性があるものの、強固な顧客基盤、事業基盤、資金調達基盤、人材基盤を強みとして、コア分野が岩盤収益基盤となり、全体としてのリスク極小化が図られていると弊社では評価している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 みずほリース Research Memo(3):リース取引を中心に各種金融サービスを展開