*11:03JST パパネッツ Research Memo(3):管理会社の主業務と困りごとを引き受ける「御用聴きカンパニー」(2) ■パパネッツ<9388>の事業概要

3. 事業内容
管理会社のサポート業務を一括して行う企業の種別として、プロパティマネジメント(PM)企業※1やファシリティマネジメント(FM)企業※2があるが、同社はFM企業に分類される。日本のFM市場は様々な企業が参入し、それぞれが特定のサービスや市場ニーズに合わせた専門技術を提供している。FMには、日常レベル/管理レベル/経営レベルの区分があり、各レベルで異なるアプローチが求められる。管理レベルや経営レベルでは、計画的なアプローチにより長期的な修繕計画や経営戦略に基づいて施設の効率化を図る一方、日常レベルでは、同社のほかビルメンテナンス会社やPM企業が活動し、施設の日常的な維持管理やサービスの最適化を手掛けている。同社は、通常の日常レベルのFM業務(定期清掃、保全活動、修繕など)に加えて、草むしり、ごみ拾い、害虫・害鳥の駆除、備品の一括管理とメンテナンス、入居前の最終チェック、インテリアコーディネート、造作家具の提供など、管理会社としての対応が困難な細かな業務も包括的に提供している。このような幅広いサービスの提供により、顧客から信頼を獲得し、事業の拡大を進めている。

※1 プロパティマネジメント(PM)企業とは、不動産の資産運用や管理全般を担う事業会社を指す。物件の賃貸業務や管理、リース戦略の立案、テナント対応、メンテナンス業務の委託などを行う、管理業務を範疇とする。
※2 ファシリティマネジメント(FM)企業は、設備や施設の保守・管理を主に行うもので、建物内の各種設備や備品の調達・管理、清掃、セキュリティ、テナント対応、メンテナンス業務などを担っている事業会社を指す。

従来は、巡回は警備会社やビルメンテナンス会社、内装は内装業者や建設業者、清掃はビル清掃業者というように、各業務を各専門業者が受け持つ場合が多かったが、同社はこれらを「御用聴き」という新しいビジネスモデルとして管理会社の主業務や困りごとをまとめて引き受けている。さらに、顧客からのあらゆる手間のかかる業務をリーズナブルに請け負うノウハウがあり、他社に真似できないビジネスモデルを有している。

同社は「管理会社サポート事業」「インテリア・トータルサポート事業」「その他」の3事業を展開している。「管理会社サポート事業」では、取引先のマンション、アパート、ビル、コンテナなどの管理物件の巡回点検等を行っている。「インテリア・トータルサポート事業」は、大型商材の運送・開梱・組立・設置までを独自の配送ネットワークで展開するほか、インテリア商品の販売・レンタル等を行う「インテリアコーディネートサービス」、カーテンレールやブラインドの取替等を行う「カーテン・ブラインドメンテナンスサービス」、国産木材を原木から取り扱う「インテリア素材調達サービス」等を行っている。「その他」は、不動産の賃貸のほかトランクルーム物件の賃貸などを行っている。

同社の強みとなっているのが、サポート業務を効率化するために独自に構築したシステムである。家具を物流拠点に集めて商品を管理し、ニ人体制で効率よく配送できる全国ツーマン配送ネットワーク「パパネット」を構築しているほか、不動産における巡回点検をクラウド化することで報告書をペーパーレスで迅速に作成・提出できる不動産巡回点検報告書システム「じゅん君」がある。こうしたシステムにより、全国展開のクライアントに対応できるのは、FM企業のなかでは現状同社のみとなっている。

(1) 管理会社サポート事業
同社の主力である「管理会社サポート事業」では、「建物定期巡回サービス」「レンタルコンテナ点検サービス」「マンスリーマンションサポートサービス」等をはじめ、管理会社が顧客からの幅広い要望に応えられるサービスを目指し、展開している。

同社は、取引先から「建物定期巡回サービス」「レンタルコンテナ点検サービス」を受注した場合、提携先の事業者(以下パートナー)に巡回・点検・清掃を依頼する。パートナーは業務完了後に報告書を作成し、同社に報告する流れとなっている。同様に取引先からマンスリーマンションサービスを受注した場合は、パートナーに対して取引先への清掃業務、布団の販売・レンタル・配送、商品の販売・配送などを依頼し、パートナーから報告を受ける流れとなる。

こうした点検・清掃業務から報告までの流れを効率化するため、同社は不動産巡回点検報告書クラウドシステム「じゅん君」を独自に開発した。同システムをインストールした携帯情報端末を活用することで、タブレット端末に表示されるチェック項目に沿って点検を行い、必要なポイントでは写真を記録するだけでデータ化され、取引先に提出する報告書を自動で作成できる。これにより、取引先の不動産管理会社はWebを通じていつでも閲覧できる。また、電球などの消耗品の型番・数量・交換場所などの細目にわたって表示されるため、細かな情報の一括管理もできる。

(a) 建物定期巡回サービス
取引先が管理する不動産に対して、定期巡回点検及び共用部における日常清掃を行い、取引先に報告書を提出する業務である。「じゅん君」の活用により、巡回報告書のペーパーレス化や迅速な作成及び提出ができるため、同社の拠点がない地域でもパートナーへの業務委託によって全国の顧客からの受注が可能になる。

(b) レンタルコンテナ点検サービス
レンタルコンテナ・トランクルームの定期巡回清掃を行う業務である。業務完了後は、レンタルコンテナ・トランクルームの運営会社に報告書を提出している。定期巡回清掃に加え、コンテナ・トランクの専有部の不具合の補修も受託する。

(c) マンスリーマンションサポートサービス
マンスリーマンションや家具付き賃貸物件を運営する取引先へ、家具家電等の販売及び設置、家具家電等の備品の清掃及び一時保管を含めたサービスを提供している。また、マンスリーマンションなどを定期的に利用する賃貸入居者に向け、布団の販売・レンタルを行う業務である。レンタル利用が終了した布団を回収し、クリーニングして新たにレンタルを行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

<HN>
情報提供元: FISCO
記事名:「 パパネッツ Research Memo(3):管理会社の主業務と困りごとを引き受ける「御用聴きカンパニー」(2)