*16:01JST 日本情報C Research Memo(1):積極的な先行投資の効果が表れ業績好調。新たな成長ステージへ ■要約

日本情報クリエイト<4054>は、不動産領域のDXプラットフォーマーとして、全国の不動産仲介会社及び賃貸管理会社向けに、不動産業務フローに沿った一気通貫のDXソリューションを提供する不動産Tech企業である。

1. 仲介と管理を結ぶ一気通貫のサービスラインナップ体制が強み
サービス区分は、不動産仲介業務領域を対象とする仲介ソリューション、及び賃貸管理業務領域を対象とする管理ソリューションである。不動産仲介会社向けの主要プロダクトは、業者間物件共有・物件仕入領域では不動産業者間物件流通サービス「不動産BB」、リアルタイム物件確認・空室管理システム「リアプロ」などである。2024年秋には「不動産BB」と「リアプロ」を統合した新サービス「リアプロBB」のリリースを予定している。賃貸管理会社向けの主要プロダクトは、入居管理・更新管理・請求管理・入金管理・オーナー送金・修繕管理など幅広い業務のDX化を支援する賃貸物件総合管理システム「賃貸革命」などである。同社の主な強みは、1) 全国の中小規模の不動産仲介・管理会社をターゲット顧客として、仲介と管理を結ぶ一気通貫のサービスラインナップ体制を構築していること、2) 全国30拠点の営業ネットワークによって地域密着型のきめ細かいコンサルティングとサポートを実現していること、3) 低い解約率やストック売上の積み上げによって高い利益率や安定した財務基盤を実現していることである。

2. 2024年6月期は大幅増収増益で過去最高業績
2024年6月期の連結業績は、売上高が前期比17.7%増の4,436百万円、営業利益が同115.2%増の709百万円、EBITDAが同71.4%増の1,133百万円、経常利益が同96.9%増の740百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同131.5%増の428百万円と、大幅増収増益で過去最高業績となった。月額有償サービス利用顧客数の順調な増加や解約率の低位安定推移などによって、イニシャル売上、ストック売上とも大幅増収となり、前期までの積極的な先行投資が一巡して販管費の増加が小幅に留まったことも寄与した。売上総利益は同16.9%増加したが、売上総利益率は同0.5ポイント低下して65.5%となった。これは仕入価格高騰に加え、ソフトウェア償却費増という一過性の原価増による。販管費は先行投資が一巡して同1.9%増に留まり、販管費比率は同7.7ポイント低下して49.5%となった。この結果、営業利益率は同7.3ポイント上昇して16.0%、EBITDA率は同8.0ポイント上昇して25.5%となった。

3. 2025年6月期も大幅増収増益で連続過去最高予想
2025年6月期の連結業績は、売上高が前期比12.7%増の5,000百万円、営業利益が同40.9%増の1,000百万円、経常利益が同35.4%増の1,002百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同45.5%増の624百万円を見込み、大幅増収増益で連続過去最高を予想としている。営業利益率は同4.0ポイント上昇して20.0%の計画だ。2023年6月期までに実施した積極的な先行投資の成果などでストック売上の拡大が加速し、MRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)の伸長も寄与して営業利益率が上昇する見込みだ。売上高計画の内訳はイニシャル売上が同15.2%減の1,000百万円、ストック売上が同22.8%増の4,000百万円としている。イニシャル売上については、高水準だった前期との比較では減収だが、おおむね1,000百万円の水準で堅調に推移する見込みだ。重点戦略としては、2024年秋リリース予定の「リアプロBB」を中心に、仲介ソリューションの拡販及びMRRの伸長に注力するほか、強みである地域密着型のコンサルティン営業によって、さらなる顧客基盤の拡大と市場シェアの拡大を推進する。

4. 新中期経営計画で2027年6月期営業利益2,000百万円を目指す
同社は2024年8月に新中期経営計画(2025年6月期~2027年6月期)を策定し、業績目標値に最終年度2027年6月期の売上高7,500百万円、営業利益2,000百万円、営業利益率26.6%を掲げた。前中期経営計画期間の2022年6月期~2024年6月期を成長投資期として、営業人員体制強化、拠点増設、商品開発投資、リアルネットプロとの経営統合などを推進し、最終年度の2024年6月期に過去最高業績を達成した。新中期経営計画の期間は成長推進期と位置付け、重点戦略として仲介ソリューション領域の新サービス「リアプロBB」による仲介市場でのシェア拡大、管理ソリューション領域の「賃貸革命10」後継版(開発中、2026年6月期にリリース見込み)によるサービス深化と顧客単価増大などを推進する。そして成長拡大期と位置付ける次期中期経営計画期間(2028年6月期~2030年6月期)につなげる方針だ。さらに、業績目標の達成によって東証プライム市場への移行も目指す。

5. 新たな成長ステージ入りを評価
同社は2022年6月期から2023年6月期にかけて利益成長トレンドが崩れていたが、2024年6月期は一転して大幅増収増益となり、過去最高業績を達成した。加えて2025年6月期も大幅増収増益で連続過去最高更新を予想している。これは2023年6月期まで実行してきた積極的な先行投資の効果が表れ始めたためと考えられ、弊社では新たな成長ステージに入った可能性が高いと評価している。今後は新中期経営計画で掲げた事業戦略の進捗と業績目標の達成状況が注目点となるが、特に仲介ソリューション領域の新サービス「リアプロBB」が、新規顧客獲得やストック売上拡大にどのような影響・成果をもたらすのかを注目したい。

■Key Points
・全国の不動産仲介会社及び賃貸管理会社向けにDXソリューションを提供する不動産Tech企業
・仲介と管理を結ぶ一気通貫のサービスラインナップ体制などが強み
・2024年6月期は大幅増収増益で過去最高業績。加えて、2025年6月期も大幅増収増益で連続過去最高を予想
・新中期経営計画で2027年6月期営業利益2,000百万円を目指す
・新たな成長ステージ入りを評価

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 日本情報C Research Memo(1):積極的な先行投資の効果が表れ業績好調。新たな成長ステージへ