(2) 『ファーストステージ2027』の基本戦略 a) 稼ぐ力の強化、高収益構造への転換 インソーシング・派遣事業に積極的に経営資源を投下し、主力取引先である自動車部品関連や医療機器関連に注力するともに、年率10%成長が見込まれている半導体関連業界への積極展開や、設計エンジニア及びフィールドエンジニアなど高単価職種の人材採用・育成を強化する。特に半導体関連業界ではフィールドエンジニアが大半の企業で不足しているようで、同職種の派遣により新規顧客の開拓に成功している。今後もこうした業界では自動化設備やロボット設備の導入が進む見通しであり、「設備監理・保全」を行うフィールドエンジニアの需要を取り込む戦略だ。なお、派遣期間の上限である3年を経過すれば、本人及び顧客企業が望めば、正社員として紹介するサービスも行っており、顧客企業との強固な信頼関係構築につながっている。
b) M&A及びアライアンス戦略 国内における製造請負・派遣は大手企業から中小企業まで多くの事業者が参入しており、売上高上位20社の市場占有率は2022年度で5割弱の水準にとどまっている。とは言え、ここ数年は中小事業者の後継者問題等もあり、大手企業の寡占化が進んでいる状況にある。こうしたなかで、同社はM&A対象として技術者派遣を行う企業や、技術者を多く抱えている企業などを優先的に考えている。とりわけ、同社が手掛けていないAI分野や海外分野の高度人材など専門性の高い分野への展開を狙っている。また、業界としては半導体関連に加えて、バイオ・化学分野や研究開発分野などに領域を拡大する考えだ。製造請負・派遣については大企業による寡占化が進むと同時に採用環境も厳しくなっているため、M&Aだけでなく提携戦略によるグループ化で、人的リソースの拡充を考えている。なお、M&Aについては投資指標としてROICを活用するなど、効率性を重視して推進する。
c) 事業基盤の強靭化 事業基盤の強靭化施策としては、外部環境が激しく変化した際にも安定的なサービス提供を可能とするための人材の採用、育成、配置、サポート体制の強化を図る。また、働きやすく、かつキャリア形成が可能な職場環境を構築することで、働き手から選ばれる企業集団になることを目指す。