中期経営計画の進捗状況は、直近の決算期である2023年12月期は、売上高3,559百万円(前期比19.2%増)、営業利益は363百万円(同37.9%増)となった。売上高・営業利益ともに過去最高を更新し、期中に2度の上方修正実施後も通期計画を達成した。データセキュリティ事業では主力製品の「ALogシリーズ」が円安効果もあり、順調にパイプラインを進捗した。一方、新事業であるセキュリティ運用サービスの契約増に伴う、人員採用によって売上総利益は減少した。ネットワークセキュリティ事業では、人手を介さずにクラウドで企業の通信インフラを構築できる「Network All Cloud」サービスが好調となり、CAGRは5年連続で20%を越えた。また、円安による仕入額の高騰は販売価格への転嫁が完了し、これにより売上総利益が増加した。営業利益は期初予想に対して129.8%、2度目の上方修正後も101.0%の着地と想定以上の伸長となり、中期経営計画の最終年度に向けて順調に進捗していると弊社では見ている。 「ALogシリーズ」のサブスクモデルへの転換については、新規顧客については2024年4月より完全移行を果たした。既存顧客についても順次シフトする計画である。従来の販売モデルにおいては、新規のソフトウェア購入時に顧客が250〜300万円を導入費用として支払い、その後は約10%を保守費用として顧客が負担していたが、新しく導入されたサブスクモデルでは顧客は150〜200万円を毎年継続して支払うことになる。従来は顧客の総負担額としてソフトウェア導入費用だけに留まらずサーバ費や構築費などが必要であったが、新モデルのクラウド型へ移行することでこれらの負担が不要となり、5年間のサブスクとした場合の総費用は従来型売切りモデルと大きく変わらないように設計されているのがポイントである。また、ログに関しても従来はファイルサーバのみを対象としていたが、「ALogオンプレ版」同様「ALogクラウド版」においてもシステム全域が対象となっており、従来のファイル操作の監視だけに留まらず、サイバー攻撃の監視や怠慢勤務の監視、内部不正の感知などセキュリティ対策をひとまとめにすることができるため、顧客が負担する総費用は軽減できる仕組みとなっている。