a) 機械学習/AI領域の取り組み状況 機械学習/AI領域では、独自開発したエッジ推論向けフレームワーク「ailia SDK」の強みを生かして、フレームワークの販売と開発支援の積み上げ、ソリューションパッケージの提供に取り組んでおり、今後は「ailia DX Insight」を核にロイヤリティ・ビジネスを構築していくことで事業を拡大していく戦略だ。「ailia SDK」を使用することで最新モデルを含めた300種類を超える学習モデルがすぐに活用できること、並びに世界最高水準の高速処理を実行できること、またクロスプラットフォームに対応できる長所を生かし、組込み機器メーカーと組んで最適なAIシステムを構築していく。AIチップはNVIDIAが圧倒的シェアを握っているが、競合メーカー(インテル、ルネサス エレクトロニクス、Qualcomm、TI、MediaTek等)でも利用が可能でハードウェアに依存しない点も「ailia」の強みと言える。
b) 自動運転向けの取り組み NEDOの公募事業の一環として、完全自動運転に特化したAIチップの研究開発を2018年から進め、2023年3月に試作品が完成したことを発表し、同プロジェクトについては終了している。AIチップに関連する今後のビジネス展開は検討中で、(株)ティアフォーと協議を進めている状況にある。ただ、自社で自動運転用半導体事業を展開していくのは開発負担や事業リスクが大きいと感じているようで、現時点ではデンソー<6902>が開発するAIアクセラレーターなどに同社の「ailia SDK」を実装し、ロイヤリティ収入を獲得していくことを基本戦略としている。まずは、工場内で走行する自動搬送車両やショッピングモールの移動車両など走行エリアが限定されるモビリティ市場への展開が想定される。このため、収益に貢献するまでにはしばらく時間がかかるものと見られる。
c) ブロックチェーン技術(Web3.0)領域 ブロックチェーン技術(Web3.0)領域については、2030年の世界市場規模が800億ドル、年率で43%の高成長が予測されており、コンシューマ用途からビジネス用途まで幅広い分野で普及が見込まれている。同領域においては同社が持つ暗号化技術をベースとした堅牢なセキュリティソリューションを提携戦略により展開していく計画となっており、前述した&DC3との提携(デジタルコンテンツの著作権管理)もその一例となる。サイバー攻撃が多発化するなかで、企業活動だけでなく社会インフラの安全性を高めるうえで、暗号化技術によるセキュリティソリューションの重要性も今後高まることが予想される。今後、自治体における各種住民サービスや医療情報、インターネットバンキング、ネットワーク監視カメラなどプライバシーの秘匿性が強く求められる分野で利用される可能性があり、提携戦略の動向に注目したい。