a) 賃貸管理・斡旋事業の収益力強化 賃貸管理部門の収益力強化施策として、付加価値の高いサブリース契約の比率を高める方針で、引き続き契約条件の悪い物件に関して不動産オーナーと交渉し契約内容の見直しを進めている。前述のとおり、交渉の過程でサブリース契約から賃貸管理契約への切り替わりや解約が発生しているが、利益面でのマイナス影響はほとんどなく、契約条件の見直しが進んだ場合には増益要因となる。また、サブリース物件の入居率を高めることで収益性の向上を図る。入居率が1%上昇すると売上総利益で年間3億円弱の増益要因となるため、入居率上昇による利益改善余地は大きい。現在の入居率は92%台だが、2015年頃には95%台で推移していたこともあり、店舗で自社管理物件の斡旋に注力することで同水準まで引き上げるのは可能と弊社では見ている。自社管理物件は仲介手数料が不要となるため、斡旋収入の減少要因となるが利益への影響はない。
b) 賃貸管理戸数の積み上げ 賃貸管理戸数については、2024年9月期も前期比で若干減少を見込んでいる。サブリース契約条件の見直し交渉を継続しており、一定程度の解約が発生するリスクを織り込んでいることや、M&Aによる新規取得を想定していないためだ。第2四半期まではほぼ想定の範囲内で解約が発生したものと見られる。ただ、一方で自力での賃貸管理戸数の積み上げに関してはあまり進んでいないようで、今後の課題となっている。M&Aについては現状、案件の持ち込みはあるものの価格が割高な水準のものが多く、当面は様子見方針としている。このため、今後も解約率の低減が重要になると見られる。不動産オーナーとのコミュニケーションを密に行い、要望などをヒアリングして解決につながるサービスを提供するなど地道な取り組みを進めていくことで顧客満足度の向上を図る。新規獲得については既存オーナーの追加取得物件や紹介物件などを確実に取り込み、管理戸数を積み上げていくことにしている。営業体制については現状の水準を維持する。弊社では、管理戸数1千戸当たりの営業利益は年間で20~30百万円程度になると試算しており、年間1千戸ペースで積み上げることができれば、20~30百万円の営業利益の増加要因となると予想している。
c) 借上社宅事業の育成 2021年9月期より本格的に開始した借上社宅事業については、提携社数を広げながら転貸サービス契約件数を伸ばし、2024年9月期以降も4割増とハイペースでの成長を目指す。借上社宅の業界最大手はリログループ<8876>の子会社(株)リロケーション・インターナショナルであり、2024年3月末のグループ管理戸数は約25.9万戸(前期比9.1%増)と増加基調が続いている。借上社宅管理事業の2024年3月期業績も売上収益で前期比11.6%増の28,917百万円、営業利益で同7.3%増の6,039百万円と増収増益が続いている。同社は後発となるものの業界全体が拡大を続けていることや、社宅斡旋では多くの顧客基盤を有していること、全国に1,000店舗を超えるFC加盟店舗数があり、これら加盟企業と協業していくことで同事業が収益柱の1つに育つ可能性は十分にあると弊社では見ている。管理業務手数料が550円/月(税込)と少額となるため、付帯商品・サービスを提供することで付加価値を高める戦略だ。