a) 標準校舎の着実な成長 標準校舎については年間1校程度の新規開校ペースにとどめるが、需要の旺盛な校舎については移転・増床リニューアルを行うことで、1校当たりの塾生数増加を図っていく。前期に移転・増床した2校(渋谷校、武蔵浦和校)の2024年3月末の塾生数は移転前(2022年3月末)と比較して16.6%増加するなど効果が確認されている。移転により校舎設備など学習環境面での改善が進んでいることも要因と見られる。同社では今後も、講師・事務スタッフの育成強化により授業サービスの品質向上や、ICTを活用した付加価値の高いサービスを拡充していくことで顧客満足度の向上を図り、塾生数の増加につなげていく戦略だ。
b) 大学受験部の新領域開拓 大学受験部では東進衛星予備校事業の開始により、塾生数並びに売上高の一段の増加を目指す。今までは東大や早慶大など難関大学志望の学生をターゲットにしていたため、早稲田アカデミー単体の塾生数は1,800人弱、売上高で9億円弱にとどまっていたが、1学年に1万人以上いる「卒塾生」へアプローチすることで塾生数を拡大していく余地はあると見ている。校舎展開としては、2025年3月期は3〜4校を開校する予定で、その後は各エリアの状況を見ながら展開していくことにしている。東進衛星予備校及び東進ハイスクールは首都圏ですでに200校を超えており、新規生徒の獲得競争も激しいことから、いかに卒塾生を取り込んでいくことができるかが成長の鍵を握るものと思われる。同社では東進衛星予備校も含めた大学受験部について、2027年3月期に塾生数で4,000人、売上高で約18億円と現在の2倍に拡大することを目指している。
c) 個別指導部門の展開加速 個別指導部門では2024年3月時点で、FC校も含めて71校と、2027年3月期の100校体制に向けて順調に拡大している。同社は首都圏における難関校受験対策の個別指導としてNo.1の地位確立を目指しており、今後はFCも含めて年間9~10校のペースで校舎を開設していくことになる。校舎については標準校舎の近隣に開設することで、他の個別指導塾と掛け持ち通塾している生徒あるいは卒塾生を個別進学館で取り込むなど、シナジーを高めていく戦略だ。売上高は2023年3月期実績の約25億円から2027年3月期に約35億円と1.4倍増を目指す。