また、2024年1月よりEU排出量取引制度(EU-ETS)の海運セクターへの適用が開始された。同制度は、2030年までに1990年比で少なくとも55%のGHG削減を目指した気候変動政策パッケージ(Fit for 55)の一環で、海運業は適用対象外とされていたが、2023年4月の欧州議会・EU理事会にて最終採択により、適用対象となった。EU-ETSは、事業者や施設ごとに排出量の上限を割り当て、過不足分の排出枠(GHGを排出する権利)を売買する「キャップ・アンド・トレード方式」が採用されている。海運に対する排出枠は有償となり、排出量に応じて排出枠を市場などで購入する必要が出てくる。