a) 初心者向け きものを気軽に着られるように、しわになりにくく自宅で洗濯できる東レ<3402>開発の「シルック(R)きもの」や、仕立て済の「プレタ着物」などを中心に販売している。カジュアルからセミフォーマルまで幅広く取り揃えており、初心者が受け入れやすい商品ラインナップとしている。
b) シーンを提案 「お呼ばれ」「イベント」といった行事に合わせてきものを選べるリンクを設置し、初心者でも選びやすい工夫をしている。
c) 通常より多い「9パターン」のサイズオーダー 年間仕立て数トップクラスの日本和装「糸の匠センター」監修の下で、様々な体型の顧客に満足してもらえるようにこだわっている。
(5) CSR活動 同社は様々なCSR活動にも積極的に取り組んでいる。以下は最近の実例である。
a) 国産養蚕支援事業「Reborn The Silkプロジェクト」 かつて日本は世界一の生糸輸出国だったが、近年は減少の一途をたどり、ほとんどを輸入品に頼っているのが現状だ。生糸は日本の伝統文化であるきものや帯に欠かせない原材料であり、養蚕は明治時代の文明開化を大きく推進させた世界に誇る一大産業であった。同社では、大切な伝統技術や文化の継承のために、国内の養蚕業を支援する一助のために「Reborn The Silkプロジェクト」を立ち上げた。蚕の中でも幻の品種である「太平長安」を復刻し、その蚕の飼育や製糸に直接携わり、最終的に製品化されたきものや帯を紹介して販売仲介することで継続的に日本の養蚕業の理解の輪を広げていくことを目指している。2023年6月に卒業生が養蚕現場を訪問した際には複数のマスメディアに取り上げられ、話題になった。
b) 中高生6,130名へ「浴衣の着付け」出前授業を提供 同社は、CSR活動の一環として、全国の拠点(局)がある地域限定で、中学校・高校への浴衣の着付け出前授業を無償で行っている。2022年6月から2023年12月までに、東京、千葉、横浜、静岡、名古屋、岡山など合計53校、6,130名の生徒に着付けの授業を行った。家庭科の教科書から得る座学だけではなく、実際に浴衣に触れて、自分で浴衣を着られるようになることで「和装」への関心が高まることを、同社では期待している。さらに、浴衣に触れた中学生・高校生たちが「豊かな和の文化が残る日本社会」を形成していくと、同社では信じている。実際に授業を受けた生徒たちからは「難しかったけれど楽しかった」「先生が親切に教えてくれた」「初めて着てみたけれど、似合っていて嬉しかった」など、全体として好評であった。