*16:08JST 日本和装 Research Memo(8):和装品市場拡大のために様々な施策を実行 ■中長期の成長戦略

日本和装ホールディングス<2499>では、中期経営計画や定量的な数値目標は発表していないが、業績拡大に加えて、日本の伝統である和装品(きもの)市場の拡大に向けて、様々な施策や応援活動を推進していく計画だ。

● 今後の注力施策や活動
(1) 2024年新イメージキャラクターに冨永愛を起用
トップモデルとして世界の第一線に立ち、昨今では人気TVドラマの主演でも大きな話題を呼んでいる女優の冨永は、社会貢献活動などにも積極的で、抜群のプロポーションと自立したライフスタイルが多くの女性の憧れとなっている。一挙一動に「挑戦」という文字が想起される冨永愛をTVCMに起用することで、そのバイタリティで「きものに興味はあるけれど、あと一歩が踏み出せずにいる方たち」の背中を押してくれることを同社は期待している。2024年1月から放映されたTVCMでは、和太鼓とセッションをするかのように美しいポージングを披露する冨永愛に注目が集まった。

(2) 「お試し3回無料着付け体験コース」を実施
2024年春期に、従来の着付け教室とは大きく異なる「お試し3回無料着付け体験コース」を実施する。これまでにもお試し体験はあったが、基本的には1回のみで、来訪者に着付けの楽しさを感じてもらうには十分とは言えなかった。そのため、業界でも例を見ない「3回無料体験」を開始した。これによって、1回では駆け足になってしまうことも、3回ならゆっくり、じっくり体験してもらうことが可能で、誰でも気軽に参加しやすくなると同社では考えている。さらに希望者には、3回の体験のあとに、本教室「超簡単らくらく着付け教室」(受講料無料/5回)へ通ってもらうことも可能だ。これにより、きもの着付け教室への参加のハードルが低くなることが期待される。

(3) 付加価値の高いイベント・ツアー企画
2024年上期も、引き続き様々なイベントやツアーに取り組んでいく。

a) 京都初春ツアー
見て、触れて、味わって、体験して「京もん」の素晴らしさを改めて感じてもらうため、「源氏物語」ゆかりの地など、選りすぐりの観光スポットや京料理を堪能することができるイベント。

b) 産地応援ツアー
米沢・新潟などの産地に赴き、伝統技術や産地ならではの作品を見学し、職人との交流も含めて、きものの産地を盛り上げていくイベント。

c) ブリリアンツ地区大会
2023年ギネス世界記録認定の「きものブリリアンツ全国大会」への出場権をかけたイベント。2024年は産地と結び付いた企画を年間通じて予定している。

(4) EC事業「KAERUWA」始動
顧客層の拡大を目指す事業戦略としてECサイト「KAERUWA」を2024年1月9日に開設した。若年層をターゲットに、気軽に和装を楽しめるサイトを目指し、初回はリーズナブルな価格帯のきものや帯、小物などを販売している。また、品質の良さを求めるユーザー向けのこだわりの小物、オリジナル製品など、幅広い展開も予定している。このEC事業「KAERUWA」には以下の特徴がある。

a) 初心者向け
きものを気軽に着られるように、しわになりにくく自宅で洗濯できる東レ<3402>開発の「シルック(R)きもの」や、仕立て済の「プレタ着物」などを中心に販売している。カジュアルからセミフォーマルまで幅広く取り揃えており、初心者が受け入れやすい商品ラインナップとしている。

b) シーンを提案
「お呼ばれ」「イベント」といった行事に合わせてきものを選べるリンクを設置し、初心者でも選びやすい工夫をしている。

c) 通常より多い「9パターン」のサイズオーダー
年間仕立て数トップクラスの日本和装「糸の匠センター」監修の下で、様々な体型の顧客に満足してもらえるようにこだわっている。

(5) CSR活動
同社は様々なCSR活動にも積極的に取り組んでいる。以下は最近の実例である。

a) 国産養蚕支援事業「Reborn The Silkプロジェクト」
かつて日本は世界一の生糸輸出国だったが、近年は減少の一途をたどり、ほとんどを輸入品に頼っているのが現状だ。生糸は日本の伝統文化であるきものや帯に欠かせない原材料であり、養蚕は明治時代の文明開化を大きく推進させた世界に誇る一大産業であった。同社では、大切な伝統技術や文化の継承のために、国内の養蚕業を支援する一助のために「Reborn The Silkプロジェクト」を立ち上げた。蚕の中でも幻の品種である「太平長安」を復刻し、その蚕の飼育や製糸に直接携わり、最終的に製品化されたきものや帯を紹介して販売仲介することで継続的に日本の養蚕業の理解の輪を広げていくことを目指している。2023年6月に卒業生が養蚕現場を訪問した際には複数のマスメディアに取り上げられ、話題になった。

b) 中高生6,130名へ「浴衣の着付け」出前授業を提供
同社は、CSR活動の一環として、全国の拠点(局)がある地域限定で、中学校・高校への浴衣の着付け出前授業を無償で行っている。2022年6月から2023年12月までに、東京、千葉、横浜、静岡、名古屋、岡山など合計53校、6,130名の生徒に着付けの授業を行った。家庭科の教科書から得る座学だけではなく、実際に浴衣に触れて、自分で浴衣を着られるようになることで「和装」への関心が高まることを、同社では期待している。さらに、浴衣に触れた中学生・高校生たちが「豊かな和の文化が残る日本社会」を形成していくと、同社では信じている。実際に授業を受けた生徒たちからは「難しかったけれど楽しかった」「先生が親切に教えてくれた」「初めて着てみたけれど、似合っていて嬉しかった」など、全体として好評であった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 日本和装 Research Memo(8):和装品市場拡大のために様々な施策を実行