(1) デジタルリスク事業 a) ソーシャルリスク領域 これまでの成長をけん引してきた領域であり、大きく「リスクモニタリング」と「リスクコンサルティング」の2つのサービスに分けられる。「リスクモニタリング」は、ソーシャルリスクの発生を早期に検知及び把握するサービスで、24時間365日、X(旧Twitter)等のSNSやインターネット掲示板といったソーシャルメディア上の投稿を分析し、リスクの予兆があれば緊急通知の実施や対応方法のアドバイスを行い、危険投稿がなければ日報等で報告する。「リスクコンサルティング」は、ソーシャルリスクが検出された場合に、顧客が適切な対応を取れるようにアドバイスを行うサービスであり、リスクが沈静化した企業や組織に対して、事後のレピュテーション回復(及びブランド再構築)支援も行っている。最近ではインターネット上の情報量の増加や影響力の高まりを背景として、IPO検討企業などから「Webリスクモニタリングサービス」への引き合いが強いほか、米国におけるSNS発の預金流出リスクの顕在化により、国内の金融機関でもSNSリスクへの対応検討が進んでいるようだ。
b) インターナルリスク領域 企業内のログデータや管理情報を統合的に分析し、情報漏えいや社内不正リスクを検知する「内部脅威検知サービス」を主力とする。複数のログ分析から、「ユーザーの振る舞い」を解析し、デジタルリスクの予兆を捉えるところに特徴があり、膨大な組織内部のシステムログや管理データから、同社独自のアルゴリズムによりリスクの高い行動パターンを認識し、アナリストの再分析を経て、危険度や緊急度の高いものは即時通知することで未然防止につながる。メールやチャットデータを用いたリスク予兆分析の精度を高めるため、自然言語処理機能も追加している。「働き方改革」やテレワークの普及に加え、政府が進める経済安全保障対策や、営業秘密等の機密情報の持ち出し対策を背景として、国内大手企業から中小企業まで幅広くニーズが増大しており、足元で大きく成長してきた。