a) 経営基盤の強化 基本方針に基づく事業活動の結果、「人材」に関しては、同社の最大の強みである技術力の伝承や経営資源の拡大のため、人材採用・育成を強化してきた。施工部門のほか、技術部門・メンテナンス部門を中心に採用・育成を継続し、連結グループ全体の従業員は前期比102人増加の4,247人となり、単体では69人を採用した。「研究開発」に関しては、既存技術のブラッシュアップに加え、脱炭素社会の実現に向け、CCUS・カーボンリサイクル技術を中心に排ガス浄化によるCO2の農業利用、固体炭素化、バイオメタネーションなどの具体的なテーマについて研究開発を継続して進めており、2024年3月期は前期比8.5億円増の20億円の投資を予定している。「設備投資」においては、2023年1月に播磨新工場が稼働を開始し、2024年3月期は旧工場の解体工事や倉庫棟の建設を行うため、前期比35億円減の36億円の投資を予定している。「パートナーシップ」に関しては、脱炭素社会の実現に向けたオープンイノベーションビジネスプラットフォーム「C2X」プロジェクトに参画し、異業種連携によるCCUS技術の事業化を目指し、提案力・研究開発を継続して強化している。2023年10月、同社子会社である(株)タクマエナジーは、広島県北広島町との間で、同町が目指す2050年ゼロカーボンタウンを実現し地域社会の持続可能な発展に寄与するため、包括連携協定を締結し、本協定に基づき、同町の地域エネルギーマネジメント事業体の設立支援をはじめとする各種取り組みの検討を開始した。また2023年11月、イオン<8267>直営農場の運営及び農産物の生産委託に取り組むイオンアグリ創造(株)と同社は、一般廃棄物処理施設で発生する燃焼ガスに含まれるCO2を施設園芸に供給・利用する技術の実用化を目指し、町田市バイオエネルギーセンターの熱回収施設及びバイオガス化施設から出る燃焼ガスを用いて、イチゴ栽培の実証を行うことに合意した。この技術の実現により、一般廃棄物処理施設で生み出される電気、熱、CO2を大規模施設園芸に利用するトリジェネレーションシステム※の実用化を目指す。また「デジタル技術」の活用に関しては、燃焼画像や運転データを基に、今後発生する燃焼の変動を予測し必要な操作を行うAI燃焼制御システム「ICS」の開発により、プラントの省力化・高付加価値化を引き続き推進している。
b) セグメント別の進捗状況 セグメント別の進捗状況を見てみる。主力である環境・エネルギー(国内)事業においては、一般廃棄物処理プラント及びエネルギープラントに注力している。一般廃棄物処理プラントでは、多様化するニーズに応えた総合的な提案により、継続的な受注を獲得している。その結果として、EPC・O&Mを着実に受注し受注残高の長期O&M(契約期間10年以上)比率は約60%となり、EPC事業の維持・拡大に加え、ストック型ビジネスを拡大することにつながった。引き続き、技術力を軸に提案力の強化を図り、年間2~3件の更新案件の継続的な受注を目指す。またO&M提案の強化を通じ、ストック型ビジネスによる持続的成長を目指してきた結果、2024年3月期の期初時点で長期O&Mを25施設で受注し、うち19施設が運営中で、残り6施設は順次運営開始予定である。エネルギープラントでは、2012年のFIT制度開始以降、全国で78基を受注し、納入した多くの案件でメンテナンスまで受注を獲得した。なかでも長期O&Mは3件受注し収益拡大に貢献している。今後もバイオマス発電プラントを中心に継続的な受注獲得を目指す予定だ。他に水処理プラント、新電力事業でも継続的に受注を進めている。