a) Jトラスト銀行インドネシア Jトラスト銀行インドネシアの再生については、事業規模が損益分岐点を超えたことで、営業損益は2023年12月期第3四半期で10億円の利益(前年同期比2億円増)となった。黒字を目指すフェーズから、より多くの利益の積み上げを追求する段階に入ったと見られる。2023年9月末の法人大企業を中心とする貸出残高は前年同期比34%増の2,289億円と過去最高を更新した。債権の不良化抑制と回収による不良債権金額の圧縮に加え、貸出残高の増加もあり、不良債権比率はインドネシア銀行業界平均の2.4%(2023年6月末)を下回る1.5%に低下し、貸倒引当金を控除したネットでは1.10%である。2020年1月以降の新体制で積み上げた貸出残高は全体の93.14%まで拡大したが、その不良債権比率は0.09%の低水準に留まり、不良債権はほぼ発生していない。リスクマネジメントを強化した成果が表れていると言えるだろう。また、預金残高も2,884億円(2023年9月末)に増加した。政策金利引き上げの影響を受けて預金金利は5.44%とやや上昇したが、インドネシアの政策金利6.00%より低水準で推移していることもJトラスト銀行インドネシアの黒字化に貢献した。
b) Jトラストロイヤル銀行 カンボジアの商業銀行Jトラストロイヤル銀行では、2023年12月期第3四半期の営業利益は、不良債権の回収による貸倒損失引当金の戻し入れ等により10億円と前年同期比2億円増であった。貸出残高は、戦略的にコントロールし、2023年9月末には1,481億円と前年同期比微増に留まった。不良債権比率は2.6%、貸倒引当金を控除したネットでは0.7%と低水準に留まった。一方、預金残高は1,596億円に減少(同年6月末比)し、預金金利は3.9%である。高金利預金を一部開放するなどコントロールした結果である。
(5) 投資事業 投資事業については、主にJTRUST ASIA PTE.LTD.が投資事業及び投資先の経営支援を行っている。2023年12月期第3四半期の営業収益は120百万円(前年同期比42.3%減)となり、訴訟費用の削減に努めたものの、1,583百万円の営業損失(前年同期は1,575百万円の損失)を計上した。ただ、同社では裁判継続中の金銭債権に対して既に十分な貸倒引当金を引き当て済みであり、将来の回収金は利益計上されることから、今後も回収に尽力することで同社グループの業績に貢献する計画である。また、裁判が終結し、裁判費用が不要になれば、増益要因となる。