こうした環境変化を見据えて、同社では物流需要が高い地域に適切な物流施設を開発する予定である。同社では、物流ブランド「LOGI FLAG」を設立し、商標を登録しており、現在提供するのは、2030年フロン問題にも適応した冷凍冷蔵倉庫「LOGI FLAG COLD」(コールド型倉庫)、冷凍自動倉庫「LOGI FLAG TECH」(オートメーション型倉庫)、「LOGI FLAG DRY&TECH」(3温度帯倉庫)である。
物流事業は2020年8月期に立ち上げた事業であるにもかかわらず、急成長し主力事業となり、2023年8月期には全社の業績をけん引した。同社は中小規模の冷凍冷蔵倉庫をメインターゲットに物流施設開発を進めており、2023年8月期には物流施設開発用地2件を新規に取得、物流施設4件が竣工するなど、開発は順調だ。非開示案件も含むプロジェクトパイプライン及びAUMによると、2023年8月期末の事業規模は15件/1,494億円(前期比47.9%増)に拡大している。また、プロジェクトパイプライン一覧によれば、首都圏・関西圏を中心に、2027年冬までに14件を竣工予定であり、うち3件が竣工済、7件が着工済である。立地条件としては、サイズはやや小さめながら、首都圏を中心に市場へのアクセスが便利な場所を選んでいる。なお、同事業はコストがかかるが、開発利益を取り込むことで十分な利益を得ることができるほか、開発と並行して複数社と交渉することで買手や賃貸先を早期に見つけられるメリットがある。事実、2024年秋冬に竣工予定の冷凍自動倉庫「LOGI FLAG TECH 所沢1」についても、早くも2023年10月にSBSゼンツウ(株)に保管容量(パレット)の約半分を貸し出す覚書を締結している。ロケーションやスペックも含め、マーケットの需要と合致した倉庫を開発している証左と言えよう。同社では、今後、竣工済物流施設がある程度の件数と規模に達すれば、長期ファンドに移す考えだ。
2023年8月期には、2022年11月に「FAV HOTEL 鹿児島中央」、2022年12月に「FAV HOTEL 広島平和大通り」及び「FAV TOKYO 西日暮里」、2023年3月に「FAV TOKYO 両国」、2023年8月に「FAV HOTEL 飛騨高山EAST」が開業した。このうち「FAV TOKYO 西日暮里」及び「FAV TOKYO 両国」はコンパクト設計での多人数向け間取りを実現した、都市型「FAV HOTEL」となる。さらに既述のとおり、2023年2月にはFAV HOTEL10件を対象とした長期運用型ファンドを組成したが、ファンド組成後も引き続きホテルのアセットマネジメントは続け、同社のビジネスモデルが完遂した初めての例となった。今後も開発案件のファンド化を進める計画だ。