*16:37JST LeTech Research Memo(7):3年後に経常利益12億円を目指す新中期経営計画を発表 ■成長戦略

1. 新中期経営計画
LeTech<3497>は、2024年7月期を初年度に、2026年7月期を最終年度とする新中期経営計画を発表した。これまでの中期経営計画は、2021年9月に発表されたものであり、最終年度である2024年7月期に経常利益711百万円を計画していたが、直近の実績でその計画を前倒しで達成した経緯がある。また、事業環境の変化も新しい計画の前提として考慮された。資本増強による財務強化の達成、不動産開発の早期回復、底堅いレジデンス需要、コロナ禍の収束などが新中期経営計画の前提条件となる。

新中期経営計画の基本方針としては、コンプライアンス・リスクマネジメントが経営の根幹であると認識し、経営トップ自らが組織風土醸成に向けてコミットメントすることや、事業戦略においては、不動産開発を主軸として、早期の資金回収により成長資金を確保し、財務安定性を高めていくこととした。

業績目標としては、3年後の2026年7月期に重要指標である経常利益で1,200百万円(2023年7月期比46.1%増)に拡大させる。売上高は21,920百万円(同37.1%増)、営業利益は1,660百万円(同19.2%増)当期純利益は1,220百万円(同5.0%増)を計画する。

基本戦略として6点が明示された。(1) 収縮と転換(東京都心10区中心、LEGALANDの積極開発)、(2) 多極化(東京・大阪の市場に特化)、(3) 事業ポートフォリオの最適化(不動産開発を軸、賃貸事業増強で安定化)、(4) コンプライアンス・リスクマネジメント強化(経営トップのコミットメント)、(5) コーポレートガバナンスの強化(指名報酬委員会の設置)、(6) 時価総額100億円(成長戦略、株主還元、資本戦略による株式価値向上)、である。

東京圏、大阪圏のレジデンスの市場環境は良好である。特に同社が特化する東京都心のマンション市場は、富裕層や投資の旺盛な需要があり堅調である。また大阪でも、再開発事業や大阪・関西万博等によって開発機運が高まっている。アジアの主要都市と比較しても、東京や大阪のマンションは、相対的にNOI利回りが安定しており、キャピタルリターン(賃貸収支、売却益などを勘案した投資収益率)が高く、投資需要が高い。

主軸となるのは、主力商品であるLEGALANDであり、特に東京圏で積極開発を行っていく。中期経営計画期間の3年間で年間15棟から20棟展開し、3年後の2026年7月期までに56棟追加し、累計で160棟まで拡大する計画である。新しいコンセプトの展開も積極的に行う。大阪においては、土地面積の制限が緩和されるため「LEGALAND+」が有望である。大阪で1棟目・2棟目が開発された同ブランドは、2023年7月期に両棟が売却され好調なスタートを切った。また、東京でも「LEGALAND+」の3棟目となる「(仮称)LEGALAND+江古田」(東京都練馬区)の開発を進めており、音楽・芸術を生活に取り入れたい方向けの地下防音室仕様や独立したアトリエルーム仕様等のプランを予定している。その他、同社では「持続可能な社会」に向けた取り組みについて力を入れていく方針としている。これまでも同社は寄付活動や社員参加型での地域貢献活動を推進していたが、中期経営計画においては、不動産会社としての社会貢献として、環境認証や省エネルギー性能を備えた物件などの検討を進めている。

2.ウェルスマネジメント部を新設
同社は2023年8月に、国内外の富裕層向けに不動産売買・仲介を行うウェルスマネジメント部を新設した。主な対象は、アジア圏を中心とした海外投資家(資産30億円以上の超富裕層)やLEGALAND購入実績を持つ日本の投資家(資産10億円以上の富裕層)などである。紹介する物件としては、自社物件に限定せず、ニーズにあった様々な物件を扱う。国内外に新たなネットワークを構築し、販売力や収益力の強化を狙う。大手不動産会社で富裕層・海外営業経験を持つ人材を中心に外部から専門性の高い人材も確保する。日本の不動産の人気は高く、日本に投資機会を求める海外ファンド・デベロッパーとの共同事業も推進するビジョンを描いている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 LeTech Research Memo(7):3年後に経常利益12億円を目指す新中期経営計画を発表