*14:58JST 富士ソフト Research Memo(8):中期経営目標を1年前倒しで達成を見込む ■中長期の成長戦略

1. 中期経営計画の進捗状況
富士ソフト<9749>は2022年2月に新たな中期経営計画を公表した。基本的な考えとして同社創業来の攻めの経営姿勢を掲げ、サブタイトルとして「新たなビジネス分野に挑戦し、創造し、成長し、革新していく」「売上・利益成長重視」「量の拡大とともに質も向上」としている。今後の方向性として、売上・利益の成長、営業利益率の継続的な改善、ROE、ROIC、EBITDAマージンを指標に組み込み、配当性向の見直し、財務の健全性維持(自己資本比率等)を掲げている。

数理目標として、2024年12月期に売上高は3,000億円以上、営業利益200億円以上、ROIC8.0%以上、ROE9.0%以上、EBITDAマージン9.0%以上としている。しかし、デジタルシフトに伴う外部環境の変化のうねりが同社を後押ししているため、2023年12月期に目標を達成する計画としている。

中期経営計画の経営方針は「デジタル技術でIT、OT※の両面からDXをリードし、お客様と社会の価値向上とイノベーションに貢献」することとし、「変化の激しい時代に対応し、自らを革新し続け、 安定と持続的な成長と付加価値向上を実現」である。具体的な施策は次のとおりである。「ガバナンス対応と強化」を図るため、プライム市場ガバナンスへの確実な対応と継続的な強化を行う。「人財育成」については様々な技術・ビジネスの変化に対応できる基礎力と応用力の育成を図る。「業務改革とDXへの対応」では社内で蓄積したノウハウを顧客に提供していく。「継続的な技術革新」は「AIS-CRM」のさらなる発展と新たな分野への積極的対応、「お客様への提供価値向上とDX支援」はDX技術を活用した従来ビジネスの強化及び新たなビジネススキームを確立するとしている。これらの計画に対して進捗状況の数値などは、公表されていないものの、達成度が高いゆえに、目標数値の1年前倒しが可能となったと弊社は見ている。

※ オペレーショナルテクノロジー:製品や設備、システムを最適に動かすための「制御・運用技術」

技術戦略面では、同社が重点施策としている「AIS-CRM」分野を成長させながら、新しい技術分野である「DX」「SD」「(5)G2」への取り組みを開始した。ITコンサルティングやサービスデザインといった上流分野の強化も行い、5Gやメタバースといった新たな分野の技術研究も進めている。「DX」においては、マルチクラウド化が普及し、複数のクラウドサービスを組み合わせて最適な環境を実現することが可能となってきている。そのため、クラウドサービスを中心に安定した事業成長が続いている。また、ビジネス基盤を強化するため、同社自身の「DX」にも注力し、業務改革をベースとした社内変革、事業競争力強化のための適用等を推進する。

5G領域におけるインフラの構築では、顧客独自の要望をサービスとして提供することができるという強みを持っている。ローカル5Gの技術研究を行うために、ローカル5G無線局免許を取得し、「ローカル5Gラボ」を開設した。このラボでは、5G技術を活用した新たなサービスや製品の開発に取り組むことで、同社の事業展開を加速させることを目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清野克純)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 富士ソフト Research Memo(8):中期経営目標を1年前倒しで達成を見込む