(1) サービス別売上見通し a) テクノロジーソリューションサービス テクノロジーソリューションサービスの売上高は前期比15.7%増の2,350百万円と2ケタ成長が続く見通し。このうち「Mackerel」については前期比微増と保守的に見込んでいる。2023年12月期下期以降に獲得した見込み顧客が売上に反映されるのは2024年以降になると見ているためだ。同社では顧客基盤の拡大を図るため、オフラインの展示会出展による見込み顧客の獲得だけでなく、「次世代Mackerelアーキテクチャー」の開発やパートナーの拡充も進めていく方針で、2025年7月期以降の成長軌道復帰を目指す。
b) コンテンツマーケティングサービス コンテンツマーケティングサービスの売上高は前期比3.1%増の719百万円と若干ながら増収を見込む。前期にて減収の一因となった大型顧客のマイナス要因が一巡し、運用件数の増加とアップセル施策によって売上高も徐々に回復に向かう見通しだ。運用件数は前期末比12件増加の154件、このうち8件は採用オウンドメディアの件数として見込んでいるが、前期から開始した代理販売の動向次第ではさらに増加する可能性も考えられる。
c) コンテンツプラットフォームサービス コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前期比9.3%減の382百万円と減収傾向が続く見通しだ。景気動向やインターネット広告のトレンドを踏まえ、アドネットワーク広告の単価下落による広告売上の減少を見込んでいる。新たに開始した有料記事販売サービスについては機能の拡充を図りながら拡大していくものの、売上へのインパクトはまだ小さい。「はてなブログPro」の契約件数も減少傾向が続いているため、2024年7月期は四半期ベースでいつ売上高が下げ止まるかがポイントとなる。同社では、ChatGPTに代表される生成AI技術を2023年内にも実装する予定にしており、書き手の労力を削減するなどサービス向上につながる取り組みを推進することで、「はてなブログ」の活性化を目指す。
a) 人件費 同社は中期的な成長を担保するため、最大の強みである開発力を拡充していくとともに、組織力の向上に継続的に取り組んでいる。従業員数については、エンジニアを中心に前期末比19名の増員を計画している。人員の増加率が同9.8%増であるのに対して人件費の増加率が16.3%増と大きいのは、前第4四半期の採用数が多く、これらの人件費が通年で計上されるためだ。このため人件費率は前期の50.3%から53.4%に上昇する見込みで、ここ数年では最も高い水準となる。
b) DC利用料 DC利用料は既述のとおり、円安によるクラウドサービス利用料の増大により、前期比18.6%増を見込んでいる。金額ベースでは112百万円の増加となるが、このうち円安による影響額は半分以下と見られる。一部、為替予約等のヘッジを実施しているが、今後も円安基調が続くようであれば採算が厳しくなるため、自社サービスへの価格転嫁も検討していく。BtoCサービス(はてなブログPro)については難しいが、「GigaViewer」等のBtoBサービスに関しては、運用保守料などに一部価格転嫁していく可能性が考えられる。
c) その他費用 その他費用は前期比7.0%増を見込むが、主にサービス制作に関する外注費や業務委託費、広報費用や自社サービスの広告宣伝費などの増加によるものである。サービス制作関連費用の主なものとしては、「GigaViewer」の開発や広告運用、レベニューシェアにかかる費用等が挙げられる。