「体外」で人工的に製造する抗体医薬品に対する抗体誘導ペプチドの優位点は、体内で抗体を産生させることである。このため、抗体誘導ペプチドは(抗薬物抗体を原因とする)効果の減弱が起こらず、長期にわたって治療効果を維持することが期待される。さらに免疫細胞が一定期間抗体を産生するため薬剤の投与間隔(数ヶ月に1回の注射)が長くなり、投薬の頻度が少なくなる。これにより服薬アドヒアランス(服薬遵守)及び利便性の改善により患者のQOL(Quality of life)の向上が見込まれる。また化学合成で製造可能な抗体誘導ペプチドを高額な抗体医薬品に対して医療費を抑制する代替医薬品として開発することで、先進国で深刻化する医療財政問題の改善にも貢献できる。薬剤費を抗体医薬品より低く抑えることができれば、患者負担や医療財政負担の軽減につながるため開発意義は大きい。