2. 基本方針と経営数値目標 (1) 基本方針 a) 超過利潤の達成 2022年12月期までROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト)を下回る状況が続いていたが、2023年12月期にこれを逆転させて、超過利潤を生み持続的に向上させる経営を目指している。具体的には、2022年12月期の超過利潤(ROIC-WACC)が-1.3ポイントだったのに対して、2023年12月期は業績が計画どおり進捗すれば+0.5ポイントとプラスに転じ、当初の目標を達成する見通しだ。
b) 外部資源の活用 DXなど高速展開する最新の知見を取り込むために、持株会社体制のもとCVC事業によって先鞭をつけ、M&Aや資本提携、業務提携等を展開し、外部資源を積極活用することで創造性と先進性に富んだ組織力を育み、新規事業の育成を図る。前述したFA事業を新規事業の第一弾として育成に取り組んでおり、今後の展開が注目される。
c) 顧客拡張 顧客層は個人富裕層を主軸としつつ、インターネットも活用して顧客の裾野を広げていくほか、事業法人や機関投資家へと対象顧客を拡張する。具体的には、不動産小口化事業の強化や中小規模のオフィスビルの取扱拡大、今後組成を予定しているREIT事業での展開などによって顧客の裾野を広げていく。特に、不動産小口化事業については、販売チャネルが金融機関34行だけでなく税理士やIFA(資産運用アドバイザー)なども合わせるとパートナー数で400社を超えており、顧客層の拡大に寄与している。実際、「ARISTO」シリーズは2018年の事業開始以降、累計運用額が2023年6月末時点で120億円を超えたが、延べ投資家数は750名を超えている。同社は今後も金融機関等のパートナーをさらに拡大しながら、顧客の裾野を拡大する考えだ。