(2) 基本方針と取り組み内容 1) 既存事業強化とサービス領域の拡大 a) AIやAR/VR、ドローンなどの最先端技術を取り入れ、国土強靭化、老朽化するインフラ施設のメンテナンス、環境に配慮したサステナブルな社会インフラの整備、CM(発注者支援)等の行政支援のサービスを深化させ、重点課題として取り組む。 b) 3つのコア・コンピタンス(防災・保全、環境、行政支援)を基盤にした6つの重点分野により、今後成長が想定される事業領域の拡大、変革を図る。 c) 経済発展とともにインフラ整備市場が拡大する東南アジアを中心に、M&Aも含め海外事業基盤の再構築を図り、JICAを通じたプロジェクトだけでなく現地での直接受注拡大を図る。 d) 研究開発、デジタル機材等への積極的な投資によりDX推進を加速し、競合に対する競争優位性を確保する。また、実際のDX推進に当たってはグループ会社ごとの取り組みを進めるとともに、エイト日本技術開発によるモデルケースをグループに展開していく。そのための組織として、2021年6月にEJイノベーション技術センターを設立した(災害リスク研究センターを発展的に改編)。
2) 多様化するニーズへの対応力の強化 a) データ、情報資産、ICT技術を活用した新商品、新サービスの開発を推進する。 b) 既存の農林事業を生かした地域課題解決ビジネスを深化させる(BtoBtoCなど)。地方課題解決ビジネスに関しては、2012年以降、秋田県・岡山県・徳島県において現地の地方公共団体や企業等との共同出資により、アグリ事業における6次産業化に取り組んでいる。秋田県の(株)ストロベリーファームでは希少品種である夏イチゴの「なつあかり」の栽培を行い、全国の洋菓子店やレストラン等に年間約4トンを販売し、売上高は年間1千万円を超える規模まで成長している。2021年からは現地の生産農家に対して生産技術の移転も始めており、自社生産と合わせて年間1億円の売上を目指している。岡山県の(株)エンジョイファームでは、農園での青果物の栽培や食育農作業の体験施設「水車の里フルーツトピア」について、2013年4月から運営管理業務を自治体から受託(契約期間は2027年度まで継続)している。徳島県の(株)那賀ウッドでは、森林整備の推進(CO2吸収源の確保)、木材の利用拡大(炭素の貯蔵効果)、木育・環境教育の推進(担い手育成、交流人口増大)などを目的として、現地森林組合や林業事業体との連携により、森林・竹林の整備を進め、自社の持つ加工技術と他業種との連携により、製品開発や人材育成・環境教育の普及啓発に取り組んでいる。秋田県や徳島県でのビジネスについては収益化した段階で、地元企業等に株式を売却する予定だが、収益化までにはまだ時間がかかる見通しとなっている。 c) グリーン・インフラ、スマートシティ、物流・ロジスティクス推進等の未来型社会インフラへの知見・ノウハウ・技術を獲得し、新たなインフラ構築ニーズに対応していく。 d) 新規事業・技術力強化に必要なアライアンス・M&Aを積極的に推進する。
3) 環境変化に柔軟に対応できる経営基盤の構築 a) 新たなITシステムの導入によってバリューチェーンのリアルタイムでの可視化を図り、業務の効率化・生産性向上・品質成果の確保に取り組む。 b) グループ総合力を結集し、さらなる企業価値向上を目指す。柔軟で強固なグループ経営の実現に向けた具体的な取り組みとして、グループ各社の経営陣によるグループ経営会議や担当者レベルでのグループ連絡会議、グループリスク管理委員会、サステナビリティ推進委員会などを定期的に開催している。 c) サテライトオフィスやテレワークの活用による多様な働き方を実践し、ダイバーシティを尊重した職場づくりとグループのブランド力強化に取り組む。グループ各社において健康経営の推進※や女性活躍の促進※、職員の意欲向上・定着支援につながる職場環境の改善、多様な人財の採用を推進し、成長力の源泉となる人的資本の拡充を図る。