*14:41JST システムズD Research Memo(1):独立系SIerで長年培ってきた業務ノウハウと顧客との厚い信頼関係 ■要約

システムズ・デザイン<3766>は、独立系システムインテグレーター(SIer)である。創業は1967年であり、日本のIT産業の黎明期からITビジネスを展開している。事業領域は、情報システムの企画、開発、運用から業務のアウトソーシングまで幅広く手掛けており、様々な企業のビジネスをITの分野からトータルにサポートしている。独立系SIerならではの強みを生かし、特定のメーカーや製品の制約を受けることなく、製造、物流、通信サービス、医療、官公庁、文教など幅広い分野にわたって、顧客からの厚い信頼を獲得している。

1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高9,410百万円(前期は8,339百万円)、営業利益588百万円(同334百万円)、経常利益605百万円(同354百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益380百万円(同239百万円)となり、期初計画(売上高9,234百万円、営業利益415百万円)に対して、売上高、営業利益とも上回った。
システム開発事業では、特需(主要顧客のシステムリプレースに伴う案件受注)対応に加え、ローコード開発ツールを活用したサービスが好調。また、アウトソーシング事業では、新規案件の獲得や主要顧客からのコンタクトセンターサービスなどの受注が堅調に推移した。

2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の連結業績見通しは、売上高9,421百万円(前期比0.1%増)、営業利益390百万円(同33.6%減)、経常利益398百万円(同34.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益231百万円(同39.1%減)である。
システム開発事業は、今期大きく業績を牽引した特需は収束傾向にある。一方で、ローコード開発ツールを活用したサービスの好調は継続され、顧客企業のDX取組の支援になる。アウトソーシング事業では、品質及び顧客満足度の向上を追求しつつ事業構造の再構築を進め、更なるビジネスの拡大が進むものと思われる。

3. 第7次中期経営計画の成果と第8次中期経営計画の策定
第7次中期経営計画は今期最終年度を終え、「事業の選択と集中」で2大事業(システム開発事業、アウトソーシング事業)とも売上拡大と収益改善・向上を果たし、加えて、新規事業の種まきもスタートできた。また、2023年3月期の上期の特需があったとはいえ、経営目標(売上高経常利益率やROE)も上回ることができた。

慢性的IT人材不足のなか、同社ではIT人材の確保・育成を最重要経営課題と位置付け、特に若手人材の育成に力を入れている。現在、若手人材を集め、社内ラボ型プロジェクトチームを編成し、新人を含め若手人材に実践の場を提供している。また、社員が自主的に、AIについて学ぶワーキングチームを立上げるなど、草の根的な学びが進んでいる。さらに、賃金体系の抜本的見直しを計画しており、優秀な人材確保はもちろんのこと、現役社員のリテンション防止策につなげていく。

新たに第8次中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)を策定し、今年4月にスタートした。

第8次中期経営計画策定に先立ち、企業理念、企業ビジョン、行動理念を見直し、「コーポレートスローガン」を新たに策定した。

同計画では、システム開発事業においては、ローコード開発ツールをベースに成長事業を拡大、新たな収益基盤の確立(第1弾として、東京大学とヘルスケア分野における疾病予防プログラムの共同研究)、アウトソーシング事業においては、「ファシリティ統合センター構想」などが計画・推進されている。

■Key Points
・2023年3月期実績は、特需とローコード開発ツール関連サービスが好調で、増収・大幅増益となった
・2024年3月期見通しは、特需の反動で一時減益になるも、主力製品は好調で、収益改善・向上傾向
・IT人材の確保・育成を最重要経営課題と位置付け、若手人材の育成と賃金体系の抜本的見直しを計画
・第8次中期経営計画策定に先立ち、新コーポレートスローガンを策定、全社員による共有化を推進

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 システムズD Research Memo(1):独立系SIerで長年培ってきた業務ノウハウと顧客との厚い信頼関係