*16:00JST クオールHD Research Memo(10):医薬品製造販売事業はグループシナジーを生かして高成長を目指す ■クオールホールディングス<3034>の中長期の成長戦略と進捗状況

3. 医療関連事業の成長戦略と進捗状況
医療関連事業の成長戦略として、「専門性の深化」と「グループシナジーの最大化」を掲げ、それぞれ売上規模の拡大とともに収益力を高めていく方針となっている。

(1) CSO事業
CSO事業におけるCMR市場の現状認識として、新薬の主軸がプライマリー薬(生活習慣病治療薬等)からスペシャリティ薬(抗がん剤等)にシフトするなかで、製薬企業におけるMR人材の削減傾向は今後も続くが、専門性の高いMRやITリテラシーの高いMRについての需要は拡大し、そうしたなかで専門性の高いCMRの需要も堅調に推移するものと想定している。

実際、「2022年度版MR白書」によれば国内のMR人員は2013年度の6.5万人をピークに2021年度は5.1万人と減少傾向が続いている。一方、日本CSO協会が発表した「わが国のCSO事業に関する実態調査-2022年度-」によれば、CMRの稼働人員は2014年の4,148人をピークに2018年に3,110人まで減少したが、その後は持ち直し2022年は3,647人となっている。全MRに占めるCMRの比率については2018年の5.0%から2022年は7.0%と過去最高水準に上昇している。CMRの先進国である米国ではCMR比率が11.2%、英国では14.0%とそれぞれ10%台になっていることを考えれば、国内でも今後CMR比率が上昇する可能性は十分にある。とは言え、米国のMR数が5.8万人でCMR数は約6,500人の規模であることを考えると、絶対数についての伸びしろは限られており、そのなかで需要が旺盛な専門性の高いCMR人材を採用・育成し、業界シェアを拡大していくことで成長を目指す戦略だ。

具体的には、CMR人員を現状の610名から1,000名程度に拡大し、業界シェアで現在の約15%から20%超に引き上げることを目標としている。同社のCSO事業の強みとして、MRを教育するためのスタッフが20名と業界トップクラスの陣容を誇り、基礎分野から高度な専門分野に至るまで幅広く充実した教育カリキュラムを構築している点が挙げられる。オンコロジー領域や炎症性腸疾患、中枢神経疾患領域を中心に専門分野のCMRの育成ノウハウを有していることは強みになると考えられ、異業種からの採用・育成にも注力していく方針だ。

(2) 医療系人材紹介派遣事業
医療系人材紹介派遣事業については、薬剤師、保健師、登録販売者等の医療従事者の派遣サービスの拡大に加えて、薬局の事業承継コンサルティングや法人向けの健康経営に関するコンサルティング、オンコールの子会社化などによるサービスラインナップの拡充を図りながら、事業規模の拡大を目指す。

(3) 医薬品製造販売事業
第一三共エスファのグループ化によって2025年3月期は一気に事業規模の拡大が見込まれている。藤永製薬については、引き続きニッチ分野での医薬品開発に取り組んでいくほか、将来的には設備増強を図りながら、受託製造サービスなどにも展開し、事業規模を拡大していく戦略となっている。なお、第一三共エスファとはコ・プロモーションで協業実績があるが、製造面での取引関係はない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 クオールHD Research Memo(10):医薬品製造販売事業はグループシナジーを生かして高成長を目指す