*13:41JST 早稲アカ Research Memo(1):大学受験部及び個別指導部門の拡充を図りながら持続的な利益成長を目指す ■要約

早稲田アカデミー<4718>は、首都圏で小中高校生を対象とした進学塾「早稲田アカデミー」等を直営で展開しており、子会社の(株)野田学園で医歯薬系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を、(株)水戸アカデミーで茨城県内の小中学生向け進学塾「水戸アカデミー」を、(株)集学舎で千葉県内の小中高校生向け進学塾「QUARD(クオード)」を運営しているほか、米国や英国でも日本人子女を対象に進学塾を各1校運営している。2023年3月末のグループ直営校舎数は185校、期中平均塾生数は4.6万人超となっている。

1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比7.6%増の30,728百万円、経常利益で同32.0%増の2,431百万円と12期連続増収、2期連続の最高益を更新した。小学部門を中心に期中平均塾生数が前期比7.6%増の46,949人と順調に増加したことに加え、1校舎当たり生徒数増加による固定費比率の低下、並びにICT活用による業務効率の向上、広告宣伝費も抑制できたことが増益要因となった。校舎展開では2022年7月に「早稲田アカデミー個別進学館」(以下、個別進学館)を1校、2023年2月に標準校、個別進学館を各1校、「帰国生専門 LOGOS AKADEMEIA」を1教室、同年3月に個別進学館を2校開校(水戸アカデミー含む)した。また、前期に開校した豊洲校は旺盛な需要に対応するため2号館、3号館を増設し、開校からわずか2年弱という速さで在籍生徒数が1,000名を超え、標準校舎122校のなかでトップとなるなど、生徒数増加に貢献した。

2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比8.1%増の33,228百万円、経常利益で同10.8%増の2,693百万円と増収増益が続く見通しである。期中平均塾生数は同2.9%増と堅実な増加を計画しているほか、授業料や合宿料など平均5~6%の値上げを実施したことが増収要因となる。昨今の物価上昇への対応や優秀な人材の確保を目的に従業員(非常勤職員含む)の給与アップを実施しており、これら負担増分を値上げで吸収する。値上げ実施による生徒募集活動へのマイナス影響は出ていないもようだ。校舎展開では、標準校で1校、個別進学館で3校、子会社で1校を新規開校するほか、2023年5月に渋谷校の増床・拡充リニューアルを実施し、分散していた3つのブランド(ExiV、大学受験部、個別進学館)を1ヶ所に集約し、教室数を拡充した。また、野田学園の経営効率改善を目的に同年4月に「本校」と「現役校」を統合している。

3. 中期経営計画
同社は2024年3月期からスタートする3ヶ年の新中期経営計画を発表した。業績目標として2026年3月期に売上高353.4億円、経常利益30.0億円を掲げ、増収増益の継続と利益率の向上を目指す。1校舎当たりの生徒数増加と費用統制に取り組むことで、経常利益率は2023年3月期の7.9%から2026年3月期に8.5%に引き上げる計画だ。2024年3月期以降の2年間の年平均成長率は売上高で3.1%、経常利益で5.6%と安定成長を計画している。直近3年間は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で私国立中学への受験熱が高まったことが追い風となり塾生数が年率6%の勢いで伸びてきたが、景気の先行き不透明感が強いこともあり堅実な計画とした。成長戦略は従来と変わりないが、大学受験部と個別指導部門については伸びしろがあると見て強化していく。大学受験部は2025年3月期より新たな授業サービスを開始し、2027年3月期売上高は2023年3月期に対して約2倍増を目指す。また、個別指導部門では個別進学館を2023年3月期末の66校(FC含む)から2027年3月期に100校体制に拡大し、首都圏における難関校受験対策トップの個別指導塾としての地位確立を目指す。また、教務力の向上に加えてICTを活用したサービスを拡充していくことで他社との差別化を図り、塾生数増加による持続的な収益成長を実現していく考えだ。

■Key Points
・塾生数の増加と業務効率向上により、2023年3月期業績は2期連続で過去最高益を更新
・2024年3月期は塾生数の増加と価格改定効果により増収増益が続く見通し
・新中期経営計画を発表、大学受験部、個別指導部門を強化し、持続的な収益成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 早稲アカ Research Memo(1):大学受験部及び個別指導部門の拡充を図りながら持続的な利益成長を目指す