*12:43JST ディーエムソリュ Research Memo(3):3つの事業で5つのサービスを展開 ■事業概要

1. 事業内容
ディーエムソリューションズ<6549>の事業はダイレクトメール事業、インターネット事業、アパレル事業の3つのセグメントに分けられ、ダイレクトメール事業では、DMやメール便、宅配便の小型貨物などの発送代行を行うDM発送代行サービス及びEC事業者向けに配送業務の代行をするフルフィルメントサービスを提供している。インターネット事業では、SEOのノウハウをベースに、コンサルティングやWebサイト制作、運用型広告といったデジタルマーケティングサービスと、自社の情報サイトから顧客に送客するバーティカルメディアサービスを手掛けている。また、アパレル事業では、2022年3月期初に子会社化したビアトランスポーツを通じて、海外の有名アパレルやスポーツブランドのベーシックウェアをECサイトで卸販売している。2023年3月期の売上高構成比はダイレクトメール事業87%、インターネット事業7%、アパレル事業6%となっている。


堅実なDM発送代行サービスと急拡大するフルフィルメントサービス
2. ダイレクトメール事業
(1) DM発送代行サービス
DM発送代行サービスでは、本社を含む全国6つの営業拠点と5ヶ所のメールセンターにおいてDMやメール便の発送代行をしている。DM・メール便の企画からデザイン、印刷、封入・封緘、配送業者への引き渡し、ロジスティクスセンターにおける預託商品の保管、管理、配送まで、どのような段階からでもどのような組み合わせでも、顧客の望む最適なソリューションをワンストップで提供することができる。また、自社内にクリエイティブ室やメールセンター、ロジスティクスセンターを有しているため、従来、広告代理店、デザイン会社、印刷会社、封入・封緘作業会社、配送業者など様々な会社に別々に発注しなければならなかった作業を、同社内で一括管理することができる。工程間のやりとりによるタイムロスや中間マージンの排除、さらにはスケールメリットによる発送料金の抑制など、顧客にとってメリットが非常に大きいと言える。このため、大手上場企業や有名大学をはじめ多くの顧客に利用されており、同社の取引社数や取引案件数は毎年着実に伸びている。

ダイレクトメールは古い広告手法と思われがちだが、実在性や保存性、一覧性の点でTVCMやインターネット広告を上回る強みがあると言われている。特に成長著しいネット通販(EC)業界において、サイトでのコミュニケーションに紙のカタログを組み合わせる動きは既に一般的になっている。また、エンドユーザーへの訴求効果に関しては、開封率の高さなどインターネット広告にない効果が顧客から評価されており、同社においてもゆうメールやクロネコDM便といった商業DMや非商業定期発送物などの取り扱いが増加している。ところで、ダイレクトメール事業では100人の営業を擁する強力な営業体制を強みとするが、成長するには固定費を積み上げる必要があり、効率的とは言いづらい。そこで同社はWebを通じて顧客を獲得するため、「セルマーケ」と「DM WEB」という2つのWeb集客サイトを開発した。「セルマーケ」は「印刷+発送代行」を安価な価格設定で提供、「DM WEB」は「セルマーケ」では対応できないサイズや仕様にも対応、顧客の要望に沿った注文が可能となっている。Webによる集客は好評で、既に新規顧客全体の半数を超えるなど安定した受注につながっており、人員を新規開拓や新サービスの開発など事業拡大に振り向けることが可能となった。

(2) フルフィルメントサービス
新型コロナウィルス感染症拡大(以下、コロナ禍)を経てなおEC市場が拡大、宅配便など小型貨物の流通増加が止まらない。このため同社は、DM発送代行サービスのノウハウを生かし、西東京エリアに3ヶ所のフルフィルメントセンターを展開、EC事業者向けに、受注・在庫管理、カスタマーサービスなど配送業務をワンストップで代行するフルフィルメントサービスを提供している。こうしたフルフィルメントのブランドサイトとして、同社はEC事業特化型物流代行サービス「ウルロジ」も運営している。特徴は、オンラインで完結する作業、各サイズ一律の低価格設定、顧客満足につながる配送品質の3つである。また、WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)により、顧客はオンラインで出荷指示や在庫確認を行うことにより、業務負荷の軽減やEC運営の機動力確保ができる。Amazonや楽天など利用中のECモールやカートとのシステム連携も可能である。同社の発送代行ノウハウを生かし、梱包材・作業・配送費込みで60サイズ650円、80サイズ700円という各サイズ全国一律の低価格が標準設定されており、顧客は物流費を削減することができる。さらに、顧客満足の向上を目的に、越境ECや受注代行、カスタマーサポートなどのサービスの拡充や、立体型自動ソーターの導入による効率化・高速化など、不断に積極策を実行している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 ディーエムソリュ Research Memo(3):3つの事業で5つのサービスを展開