a) 「ディスプレイ製品」 タブレット(板)が液晶パネル※になったもので、デジタルペンで液晶画面に直接描画できるという点では後述する「モバイル製品」と同じである。一方、OSや記憶装置を持たない入力デバイスという点では後述する「ペンタブレット製品」と同じ性格のPC周辺機器と言える。大型サイズのものは価格帯が30万円~50万円前後で、ユーザーはプロやハイエンドアマチュアが中心となるが、この市場では圧倒的なシェアを誇っている。市場の変化(デジタル手書(描)きユーザーの裾野拡大や「ペンタブレット製品」からの需要シフト等)に対応するため、2019年1月に16インチサイズのエントリーモデルを実売6万円台(税抜き。以下同)で販売すると、7月には22インチサイズ(実売10万円台)、2020年1月には初心者向け13インチサイズ(実売3万円台)と相次いでリリースし、他社(中国メーカー等)からの価格攻勢が厳しいエントリーモデルの領域においても存在感を高めてきた。クラウドベースのワークフローへの対応ニーズが高まっているプロ・クリエイター向けの領域においても、2022年9月に27インチサイズ(専用スタンドと合わせて実売50万円台)のフラッグシップモデルを発表した。
※「液タブ」と称されることもある。
b) 「ペンタブレット製品」 デジタルペンとタブレット(黒い板状のもの)で構成される最も基本的なデバイス※であり、主力製品として貢献してきた。マウスやキーボードと同じようにPCに接続して使用するPC周辺機器である。簡単な構成であることから、プロ向けから入門用まで幅広いラインナップとなっている。プロ向けのハイエンド市場では競争力が維持されているものの、差別化を図りづらい中低価格帯では他社との競合が激化している。また、より操作性に優れ、低価格化も進んでいる「ディスプレイ製品」への需要シフトに対して同社が戦略的に経営資源をシフトしていることから、コロナ禍前の数年は縮小傾向をたどってきた。
※「板タブ」と称されることもある。
c) 「モバイル製品」他 「モバイル製品」は、入力デバイスとしての「ディスプレイ製品」にOSや記憶装置を搭載したものである。ただしユーザーの使い勝手からすれば、一般的なペン入力対応のタブレットPC(多くの場合、同社のペン・センサーシステムを搭載)と同じであり、一見すると競合関係(同社にとっては、「テクノロジーソリューション事業」との事業間競合)にあるとも言える。もっとも、入力性能にこだわるユーザーにとって両者の違いは明らかである一方、そうでない一般ユーザーにおいては、あくまでも入力デバイスにとどまる同社の「モバイル製品」よりもタブレットPCを選ぶことが合理的であるため、求められる性能や機能からの棲み分けははっきりしている。「モバイル製品」以外では、一般消費者向けにウィンドウズタブレット向けのスタイラスペン、デジタル文具など、デジタル端末でイラストレーションやメモ作成等に使用する製品群の販売を行っている。