*17:28JST 酒井重 Research Memo(8):2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8%を目指す(2) ■中長期の成長戦略

2. 資本戦略
資本政策の基本方針として酒井重工業<6358>は、ROE8%を目標としてそれを支えるための株主還元を実施するとし、株主価値の向上(資本効率の改善)を掲げている。2026年3月期の最終目標として、ROE8%かつ配当性向50%を掲げている。

一般的に、ROEの向上のためには2つの改善が必要である。1つは言うまでもなく親会社株主に帰属する当期純利益の改善(上昇)であるが、もう1つは株主資本の抑制(必要以上に株主資本を増加させない、あるいは減少させること)である。同社では、前者の事業利益向上のためには既述のような事業戦略を推進していく計画だが、同時に必要以上に株主資本を増加させないために、「ROE3%を下回る場合は配当性向100%の還元」「ROE3%~6%の間はDOE(株主資本配当率)3%の還元」「ROE6%を超えた場合は配当性向50%の還元」とする配当政策を実行する方針である。

自己株式の取得については、2026年3月期までに5~20億円規模を上限とした機動的な自己株式の取得を行うとしている。また、投資有価証券についても、事業戦略観点からの見直しを進める方針だ。なお、成長投資については、資本収益性(ROIC)を重視し、レバレッジの活用も検討するとしている。

3. ESGに対する取り組み
同社は、ESGに対しても積極的に取り組んでおり、様々な施策を推進している。特に足もとでは、下記のような施策を進めている。

(1) カーボンニュートラルへの貢献に向けた取り組み
建設施工現場のCO2削減としてEV化に積極的に取り組んでいる。EVローラについては既にデモ機が完成し、近いうちに実際の舗装現場での実践的試験を実施する予定。製品化に向けデータ収集も実施予定だ。

また電動ハンドガイドローラについては、本田技研工業<7267>製の着脱式可搬バッテリー搭載のコンセプトモデルを製作。

(2) 事業活動を通じた社会的課題解決に向けた取り組み
2024年1月から、インドネシアにおいて、ロードカッタ(路面切削機)の生産を開始予定。 東南アジアの道路整備への貢献と同社事業領域拡大の両立を目指す。

(3) ガバナンス強化に向けた取り組み
ガバナンス強化に向けて、2023年6月開催予定の株主総会で産業革新機構、丸の内キャピタル等での経験を持つ朝倉陽保氏を社外取締役として選任する予定。同氏はプライベート・エクイティ・ファンドにおいて長年の実績があり、資本市場及び企業価値向上に関する幅広い知見を有していることから、ガバナンス強化のために社外取締役として適任であると判断した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 酒井重 Research Memo(8):2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8%を目指す(2)