*14:01JST KaizenPF Research Memo(1):企業のDXや社会課題解決に貢献するDXアクセラレーションパートナー ■要約

Kaizen Platform<4170>は、ミッションに「KAIZEN the World なめらかな働き方で世界をカイゼンする」を掲げ、DX(Digital transformation)を通じて世界をカイゼンし社会課題を解決することを目指している。SaaSとコンサルティングとプロフェッショナルサービスを組み合わせることで、顧客企業のDX課題解決や社会課題解決に貢献するDXアクセラレーションパートナーである。

1. 顧客体験DXで企業課題のカイゼンを支援する「KAIZEN PLATFORM」サービス
顧客体験DXで企業課題のカイゼンを支援する「KAIZEN PLATFORM」サービスとして、動画ソリューション、UX(User Experience=顧客体験)ソリューション、DXソリューションを提供している。動画ソリューションは動画コンテンツ制作プラットフォーム提供や動画広告・コンテンツ制作を行うサービス、UXソリューションは顧客のサービスをわかりやすく使いやすくすることで顧客におけるKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)を改善するサービス、DXソリューションは顧客のDXを戦略策定からCRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)までトータルサポートするサービスである。成長性の高い営業・マーケティング・カスタマーサービス分野のDX市場をコアターゲットとして、クロスセル・アップセル戦略によるリカーリング売上(継続収益)の拡大とARPU(Average Revenue Per User=1ユーザー当たりの平均収益)の向上を推進している。

2. グロースハッカー(成長請負人)ネットワークを活用したビジネスモデルが特徴
同社のビジネスモデルは、プラットフォーム上でグロースハッカー(Webサイトの効果や収益を高め、企業やサービスを成長させる施策を行う成長請負人)と呼ぶデジタル専門人材のネットワークを活用していることが特徴だ。顧客の課題やニーズを踏まえて、同社従業員のPM(プロジェクトマネジメント)の下、最適なグロースハッカーのチームを組成して顧客の課題解決に取り組む。グロースハッカーネットワークにはクリエイターやエンジニアなど様々な領域の専門スキルを持つ人材が在籍しており、それぞれの専門領域や得意分野に基づいて役割を割り当て、フルリモートでプロジェクトを進める。過去に実施してきた1,200社超、5万件超の豊富な改善事例とデータ蓄積も最大限活用して、プラットフォームを通じてフィードバックしながら改善を進めている。

3. 2022年12月期はEBITDA減益・営業赤字で着地だがARPU向上
2022年12月期連結業績(収益認識会計基準適用だが損益への影響なし、2022年11月14日付で下方修正)は、売上高が2021年12月期比18.0%増の2,667百万円、EBITDAが28.7%減の158百万円、営業利益が102百万円の赤字(2021年12月期は45百万円の黒字)、経常利益が127百万円の赤字(同25百万円の赤字)、親会社株主に帰属する当期純利益が285百万円の赤字(同101百万円の赤字)だった。売上面は高成長を継続して大幅増収だが、UX/DXソリューションにおける新規案件獲得やクロスセルの遅れ、動画ソリューションにおける戦略転換の影響、先行投資に伴う人件費増加やM&A費用発生などの影響で、EBITDA 減益・営業赤字だった。親会社株主に帰属する当期純利益については特別損失(動画ソリューションに関わる固定資産の減損損失89百万円)計上も影響した。なおクロスセル・アップセル戦略で大手顧客に集中する戦略によって取引アカウント数は減少したが、ARPUは向上した。動画ソリューションにおける戦略の進展がやや遅れているものの、ARPU向上に向けた戦略の成果が出始めた形と弊社では評価している。

4. 2023年12月期はクロスセル・アップセル戦略加速してEBITDA増益・営業黒字予想
2023年12月期の連結業績予想は、売上高が2022年12月期比68.7%増の4,500百万円、EBITDAが26.5%増の200百万円、営業利益が30百万円の黒字(2022年12月期は102百万円の赤字)、経常利益が3百万円(同127百万円の赤字)、親会社株主帰属当期純利益が0百万円(同285百万円の赤字)としている。将来の成長を見据えて人材拡充などの先行投資を継続するが、クロスセル・アップセル戦略の進展に加えて、子会社(株)ハイウェルのSES(System Engineer Service、以下:SES)事業(2022年3月期売上実績18億円)通期連結も寄与して大幅増収、EBITDA増益、営業黒字予想としている。動画/UX/DXというセグメントにとらわれず、全社ベースでクロスセル・アップセル戦略を加速させるため、全社の営業部門を統合して営業組織を一本化する。そしてハイウェルのSES事業も含めて、顧客の課題に合わせた提供サービスを再編するとしている。なお会社側は、半期別に見ると上期は動画ソリューションが回復途上のため、全体として赤字が残る可能性があると示唆している。弊社では、積極的な営業体制構築や提供サービス再編により、クロスセル・アップセル戦略によるリカーリング売上拡大やARPU向上が進展し、下期からの本格回復で会社予想に上振れ余地があるだろうと考えている。

5. 当面は成長投資先行だが、中長期的成長ポテンシャル大
同社は中期経営計画を公表していないが、当面は売上成長30%、EBITDAマージン率10%を維持しながら、サービスの拡充・高付加価値化や人材採用・育成など、事業基盤を固めるための先行投資を継続する方針としている。グロースハッカーネットワークを活用した独自のビジネスモデルが強みであり、クロスセル・アップセル戦略やグループシナジーによるリカーリング売上拡大・ARPU向上、さらにアクセシビリティ向上に向けた戦略を推進する方針だ。当面は成長投資が先行するが、今後の営業体制強化、サービス再編、M&A・アライアンス活用などの成果で、中長期成長ポテンシャルは大きいと弊社では評価している。

■Key Points
・SaaSを活用して顧客企業のDX課題解決や社会課題解決に貢献するDXアクセラレーションパートナー
・2022年12月期はEBITDA減益・営業赤字だがARPU向上
・2023年12月期はクロスセル・アップセル戦略を加速してEBITDA増益・営業黒字予想
・リカーリング売上拡大・ARPU向上、M&A・アライアンス活用で中長期成長ポテンシャル大きい

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 KaizenPF Research Memo(1):企業のDXや社会課題解決に貢献するDXアクセラレーションパートナー