*14:38JST CaSy Research Memo(8):法人向けサービスの集客戦略等で、組織的ブランディングを高める(2) ■成長戦略

2. その他暮らしのサービス領域
CaSy<9215>は、主力である高頻度で定期的な家事代行サービスを行うことで、顧客の生活上の変化や問題に関する情報をキャストから吸い上げ、その他暮らしのサービスにおけるクロスセルにつなげる機能開発を拡充し、アップセルに転換していく。

同社が、家事代行サービスを提供しているキャストの日報から拾い上げた顧客からのニーズは、現在提供しているハウスクリーニング、整理収納をはじめ、クリーニング受渡、ペットシッター、ベッドメイク、ベビーシッター、リネン交換、リフォーム、家庭教師、学童保育、見守り、裁縫、消耗品の補充、水道工事、送迎、庭掃除、買い物、壁紙張替え、不在時荷物受取などがあり、こうしたサービス候補は、今後事業化するかについて検討中である。

3. 家事代行クラウド「MoNiCa(モニカ)」に対する戦略的投資
「MoNiCa」は、「も(Mo)っと日本(Ni)に家(Ca)事代行を」という想いをネーミングにして、DXにより事業を拡大してきた同社の家事代行のシステムを同業他社にも提供し、家事代行業のDX化を支援することを目的としたクラウドである。

「MoNiCa」を導入することで、手動で実施していた業務のほとんどを自動化でき、社内でのオペレーションコストを削減し業務コストの削減が図れる。サービス評価や日報情報をデジタル化することで、品質の改善や均一化ができ、サービスの品質が向上する。スタッフや顧客の情報を一元管理することで、リアルタイムに分析でき、素早い正確な意思決定が図れる業務データの可視化も可能になる。管理者は、スタッフの登録管理、シフト管理、簡単なマッチング、サービス評価・日報確認、キャンセル時の代理スタッフ募集、実績レポートなどを利用でき、顧客は、会員情報、家事代行依頼、サービスの日程変更などをストレスなく登録・更新でき、スタッフは、楽にスタッフ情報、シフト登録、日報の登録などが可能になり、管理者、顧客、スタッフそれぞれに対応した機能を持つ。

同社は、「MoNiCa」に対し、自らの家事代行業の技術やノウハウを組み入れ、システムの改善・改良を続けることに戦略的に投資することで、家事代行業界のIT化を底上げしたいと考えている。顧客からの家事代行依頼の需要過多にもかかわらず、家事代行スタッフがうまく供給できていない現状を踏まえ、家事代行業者同士が連携をとり、一方の代行業者が人手不足の際に、もう一方の家事代行業者が家事代行スタッフの供給ができるようなシステムを目指す。一方で、同業他社に独自に利用してもらうことで、定期使用料を獲得できるストック型ビジネスとして新しい収入源にもなり得る。既に「MoNiCa」専用サイトで無料説明会による先行案内や、協力企業との実証実験を開始しており、弊社として今後の動向に注目したい。

4. 中長期経営戦略
同社は成長期に入ったばかりで、家事代行サービスの追加検討やアプリなどの検証を行っているため、今のところ具体的な中長期経営計画の発表の時期は未定である。まずは、家事代行サービスの安定成長とその他暮らしのサービスの追加開発で売上総利益の拡大を図る。

現在、主力となる家事代行サービスが売上構成のほとんどを占めているが、今後、ハウスクリーニング、整理収納などの家の中で提供するその他のサービスにも注力していく。そして、同社は、安心安全な家事代行サービスの提供により顧客から信頼を勝ち得ることで、他サービスも勝ち得ることができる。最終的に家の中と外をつなぐあともう1つのサービス(=ラストワンマイルサービス)を追加していく。例えば、エアコン清掃はキャストの気付きからユーザーにサービスの利用を提案することでマッチングを広げることができる。同社キャストは頻度高く家庭内へ訪問する機会があり、そこから得られる様々な情報を専門業者とつなげることで、これまでにないマッチング機会を創出することができる。こうした積み重ねが、ARPU(Average Revenue Per User:顧客1人当たりの売上金額)の向上につながり、同社の成長につながる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 CaSy Research Memo(8):法人向けサービスの集客戦略等で、組織的ブランディングを高める(2)