(2) 青果物流通インフラの構築 a) 新工場・物流センターの拡充と新エリアへの進出 同社は2024年3月期までに、新工場または物流センターを3ヶ所開設する計画を立てている。候補地としては、需要増加が見込まれる関東・関西エリアに加えて、直営事業所が空白地帯だった中国エリアに拠点を開設する予定である。
b) 幹線物流網の強化 同社は現在、幹線便として仙台~東京~福岡までのルートを構築しており、野菜の調達・販売機能の強化を図っている。今後はさらに北へのルートを伸ばす予定である。北海道から九州までをネットワーク化することで、資材・商材の共同購買及びフードロスを防ぐ在庫コントロール機能を強化する考えだ。配送の内製化率については2020年3月期の約30%から現状は約35%まで上昇しており、当面は現状の水準を維持することにしている。保有車両台数については2022年3月期末で108台と年々増やしてきたが、2023年3月期はトラックの供給不足から台数も前期並みに留まる見通しとなっており、回転率を高めることで物流量の増加に対応していく考えである。
c) 長期貯蔵システムの開発 天候不順によって青果物が生育不良となり市況価格の上昇がここ数年頻発するなか、同社は青果物を新鮮な状態で長期に貯蔵できるシステムの導入に向け、パートナー企業と共同開発に着手している。従来も大阪、埼玉、愛知に貯蔵センターを配置し、2~3週間程度の貯蔵を行い青果物の市況上昇が予見される際には事前に多く仕入れて、これら貯蔵センターに保管するなど対策はとってきたが、世界的にサプライチェーンリスクが高まっており、輸入品の仕入が長期に滞るリスクも想定して、より長く貯蔵できるシステムを開発し、リスク軽減を図る。技術的にはほぼ目途がついているようで、実用化に向けてコストの低減が課題となっている。